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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    10000hit⑫

    12個目まで来ましたね。今までで一番の執筆スピードなきもします。新学期始まったら死んでそうですね…。
    そういえば、明日は春コミ…あぁ、行きたかった…。色んな人のシズイザを、シズイザを買いあさりたかった…!!今回は書店通販をしまくるつもりです。個人通販してる人はいますかね?
    夏くらいになったら、一冊くらいだしたいな。なんて思ってます。料理シリーズの書き下ろしで、何か一つ。
    そうしたら…委託か個人?むむ、どうしよう…。

    とりもあえずも、12個目。今回は、話の流れをくんで、ネオン様から頂いたリクエスト「星に掛けたのは」の数日後。とさせていただきました。


    闇医者+首なしライダー+情報屋


     



    今、我が家には一人、住人が増えている。
    両足の腱が切れているためにまともに歩けないし、殴る蹴るの暴行も受けたようで、身体を拭くときにその痛々しい傷跡が見える。
    未だ一人で生活するのは無理。と、新羅が珍しくごねずに預かることとなったのだ。
    そんなわけで、セルティは基本的に、仕事がない時は臨也の…否、臨美の世話をしたり、話し相手になっていた。

    『臨美、昼食だ』
    「わ、ありがとうセルティ」

    出されたおかゆを危なっかしくも食べる臨美は、『臨也』の時と比べると全く違う。
    素直に物を言うし、表情がわかりやすい。単純、というよりは、純粋、というべきなんだろう。
    新羅は詳しい事情を聞いたらしいのだが、それを他に話したりはしていない。故に、セルティも何故臨美が男装して過ごしているのかまでは知らなかった。
    しかしまぁ、女性の恰好をしていたらこんな怪我どころではすまなかっただろうとも思うので、セルティは臨美の変装に、そしてそれを作った事情に、少しだけ感謝していた。

    『後で、狩沢達が暇つぶしの本を持ってくると言っていた』
    「そうなの?ライトノベルって奴かな」
    『あと、お前の妹達も来るという連絡があったぞ』
    「そうなの?」

    もう一つ、臨也のように、理屈というか、嫌味というか、そういうものを込めた言葉が臨美にはなかった。

    「早く動きたいな…」
    『ダメだ。動くといつまでたっても治らないぞ』
    「む~…セルティは厳しいよ」
    『当然のことを言っているだけだ』

    子供のような臨美は、基本的に誰でもかまいたくなるような何かを持っている。…同一人物のはずなのに、『臨也』とはえらい違いである。
    門田には『臨也』だろうが『臨美』だろうが放っておけない存在として認知されているらしいが、万人は『臨美』の方がそうだと言うだろう。

    「折角の買い物ダメにしちゃったし…波江には仕事お休みしてもらってるし…新羅とセルティには毎日迷惑かけてるし…せめてもの救いは、静ちゃんに迷惑かけてないところかなぁ」
    『……』

    静雄。
    今回の騒動を知らない彼には、特別警戒措置が組まれている。
    まず、臨也のマンションには殴りこみに行かないようにさせ、ついでに事情を知っている全員に対して、臨也の話題に触れさせないようにとの措置を取っている。これは、全員が決めたことだ。
    一番簡単なのは、双子二人が静雄の接触しない事だ。それだけで、静雄が臨也を思い出したりすることはないだろうと、思っていたのだが。

    毎日のように喧嘩していたから、ある意味違和感でも感じているのだろうか……。

    本人は自覚していないようだが、静雄の周囲にはイライラとした、張り詰めた不穏なオーラが漂っていた。彼の上司もそれを悟りつつ、集金が異様にスムーズに済むという現象の為に何も言えなかったらしい。
    更には一度喧嘩に発展すると歯止めが利かなくなったように暴れ続けるので、ある意味、臨也の存在というものは池袋の平和に貢献していたんだなと誰もが思った。
    しかし、臨也が女性だと知ると、これから先喧嘩を止めないというわけにもいかない。頭ではわかっていても、つい止めに入ってしまうだろう。

    『臨美。治ったとしても、これから先静雄とは喧嘩するなよ』
    「え、セルティも同じこと言うの…」
    『?』
    「新羅もドタチンも言うんだよ?今まで大丈夫だったんだからさ、これからも同じようにしていかないと。女だからダメって、それは嫌だよ…」
    『そうは言っても、知ってしまったんだから、見て見ぬふりはできない』
    「セルティ…」
    『情報屋だって危険な仕事だ。あまりに周囲をひっかきまわし続けて、お前は命を狙われやすい。…普通に、女の子に戻ったって、いいんじゃないのか』
    「………」

    普通の、女の子。
    それは、今まで臨美にははるか遠くにあった言葉だ。
    せめて妹達だけは普通の女の子で、と思ったのだがいつの間にかあんな風になってしまったし、自分だって、今更戻ってどうなるという想像もできない。

    男であればよかったのに。本当に、『臨也』だったら良かったのに。

    そう思ったことは、一度じゃない。
    周りからも、そう言われる。それに反発して、怒鳴り続けて、無視して、やりこめたことだってあった。
    でも、今はどうだろう。
    新羅や門田や、セルティの言葉に、反発したいとは思わなかった。
    ただ、今更、『日常』を帰るのが、恐くて。拒絶されるのが怖くて。
    ただ、それだけなのだ。

    「…セルティは、お姉ちゃんみたいだね」

    沈黙が、揺れる。

    「私も…甘えられる存在が、欲しかったな……」

    弱音は、吐けなかった。特に、この東京では。
    妹達は、自分が守るべきものだ。
    友人と呼んでいいのか分からない人々には、話すには躊躇いがあって。
    ただ、甘やかしてくれる存在が、欲しかった。
    拒絶しない、存在が欲しかった。

    『臨美…』
    「情報屋でいるのだって、この姿でいるのだって、限界があるっていうのは、知ってた…でも、でも…『臨也』でいることを辞めたら、どこに行けばいいのか分からなくて…」

    『臨也』の時間が長すぎた。それゆえに、不安が募りすぎた。
    それが大きく膨らんで、どうしていいか分からなくさせた。

    『……私でいいなら、甘えてもいいぞ』
    「…?」
    『そんな風に言われては断れないしな』
    「あ…ご、ごめ、」

    『それに、元々断るつもりもない』

    PDAの文字に、臨美は目を大きく見開いた。

    『新羅も、そうだが、門田はそう言ったら今更だと笑うかもしれないぞ。それに…



    私もちょうど、妹が欲しいと思っていたんだ』



    「セ、セルティ…」
    『最初は躊躇うかもしれないが、少しは頼りにしてほしい。と思う。今までが頑張りすぎたんだ。少しづつでいいから…な』
    「……」
    『臨美』
    「…う、うん…。が、頑張ってみる……。お、お姉ちゃん」

    その頬を染めながらの小さな一言に、セルティがぎゅっと臨美を抱きしめた。





    ********************


     



    その頃、部屋の外。

    「いやぁ、やっぱり女性のことは女性に任せるに限るよね。さすがセルティ」

    ちゃっかり盗み聞き、というか立ち聞きしていた新羅が、うんうんと頷いていた。





    あとがき↓
    目指せかっこいいセルティ。

     

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