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結局、昨日上げられませんでした…。ので、お出かけ前に一本!
先日上げた「それが、出会い」の続編となっております。
来神組。
教師にちょっと呼び出されていた臨也が屋上につくと、先に来て食べていたのだろう三人、特に新羅、が、ろくでもない話をしているのが聞こえて来た。
すぐさま新羅のすぐ後ろまで来ると、弁当箱をおいて頭を勢い良く掴む。
「痛い痛い痛い痛い痛い!!いつの間に来てたのさ、臨也!!」
「今ついさっきだよ。何話してんのさ」
「お前達の中学時代の話だ。いつ頃あったのかってな。臨也、いい加減岸谷の頭離してやれ」
ため息をつきながらの門田の一言に、納得のいかない顔をしながらも臨也は新羅の頭を離した。
臨也の弁当箱は、いつの間にか静雄が確保済みである。
「ほらよ」
「ありがと静ちゃん…。てか、もうデザート広げないでくれる?」
「俺はもう弁当食ったんだよ」
そういって、静雄はエスプレッソプリンを食べだした。
まったく、人が食べ終わるのを待ってられないのか。と思いつつも、臨也は小さな弁当箱の中身を食べ始める。
今日は午前中に体育があるからと多めにしたのだが、それでも、…多い。
「しかし、入学式で話したりしなかったのか?お前ら。その後に自己紹介とか色々あるだろう」
「まだ引っ張るの?その話…。俺、入学式終わったらすぐ帰ったんだよね。親が緊急で出張入ったとか言ってさ。妹達保育園だし。迎えに行ってくれって言われて」
門田の言葉にそう返すと、お前はどこまでも妹優先だな。と呆れられる。
しかし臨也からしてみればしょうがない。子供の都合をすべて無視して親の都合を優先した結果なのだ。
ちなみに、臨也にとっては親よりも妹の方が優先順位が高いので、たまに帰ってこられると親をないがしろにして嘆かれる。しかししょうがない。たまに帰ってくる二人より、手のかかる四六時中共にいる二人だ。
「それで、その後一切学校に来ない臨也も臨也だよねぇ」
「親が入学式前に学校側に全部話してたからね。まぁ、俺も最初のSHR辺りには出て、クラスでもそれを軽く言おうと思ってたんだけど…」
「それも、駄目になった。か」
「そ」
全くあの親は…と、当時を思い出している臨也に対して、三人はどんな親なんだ…と思う他ない。実は、新羅も会った事のないレアキャラである。
「ま、この間連絡があったと思ったらフランスだったし、そろそろ帰ってくるんじゃない?」
「そうなのか」
「うん。大体、日本の前にフランス行ってるからあの人達」
一時期、本気でフランスに住むとか言ってたからなぁ…と、臨也はそれは口に出さず遠い目をする。フランスは好きだ。しかし、どっちにしろ家にいない事が多いなら、住むのは日本が良い。
「あ~…二人が帰ってきてる間、俺家出するかな…」
「はっ?お前せっかく帰ってくるのにいいのかよ」
「あのね静ちゃん、そうなると俺の労働量は二倍になるのよ。わかる?妹達の分だけなら良いものの、親二人分も追加なんてやってらんないじゃん。一度思い知って以来、俺は二人が帰ってくると家事休暇と言うことでネカフェとかに泊まってます」
「それは大丈夫なのか…?」
「何回か、セルティが見つけてうちに連れて来たよねぇ」
どんどん折原家が分からなくなっていく門田と静雄だが、簡単に言えば、家の実権を握っているのは臨也であるということである。家の家事全般をこなし、しっかりと家を守っているのだから。
そんな時ふと、四つ目のプリン(…)を完食した静雄が、スプーンをくわえたままじっっっ…と臨也を見つめた。
門田に親の愚痴をこぼしていた臨也がその視線に気づいて首を傾げると、今度は静雄が臨也に顔を近づけて来た。
「えぇッと…静ちゃん…?プリンは新羅とドタチンの分、残しておいてね…?」
「てか、もう四つも食ったのか…」
「静雄~?顔近いよ顔。スプーンでポッキーゲームでもするつもグフォアっ!」
「新羅は黙るようにね」
顔を赤くしながらも新羅を殴りつつ後ずさる臨也だが、それを不満に思ったのか静雄は加えていたスプーンをカップに投げて戻し、左手で臨也の腕を取り、右手は臨也の頬に当てた。
「っ!?ちょ、静ちゃん?!これで殴られるとか言う嫌な落ちやだよ俺!?」
「うっせぇ黙れ。………おい新羅」
「ン~?なんだい…。てか臨也、照れ隠しにしても少し手加減…イタッ!蹴らないでよも~…」
「っさい…。で、静ちゃん…。何ですかこの体勢」
「ン~…いや、新羅が、お前の目が夕焼けだとか言ってやがったけどよぉ…」
あぁ、中学時代のさっきの話か。と、静雄以外の全員が思った瞬間だった。
ちなみに余談であるが、臨也がこの体勢で大人しくしているのは、屋上が立ち入り禁止の上に、色々な意味で来神最強を誇る四人がいるので、空気を読んで他の生徒や教師が来ない為である。
さて、そこで静雄は、とんでもなく意外なことを口にした。
「どっちかって言うとトマトじゃね?」
「「「はっ!?」」」
「いや、だから、トマトとかりんごとか…。後何だ、苺か?サクランボに…」
「ちょっと待て静雄」
「?」
「何故食べ物に行く」
右手でその顔を近づけて検分しながらあてはまるものをつらつらと上げていく静雄に、門田はガシッと静雄の肩を掴んだ。
既に、臨也はその至近距離と予想外の言葉に、放心状態である。
「いや…喰ったらうまそうかな。と」
「喰っ!?食べないでよ俺の目!」
「いや、喰わねぇけどよ…。なんか、美味そう?」
「うま…!?」
あ、てか、お前が喰ったらうまそう。
そう言ってのけた静雄に、新羅と門田は別の意味で…臨也の危機を感じた。
貞操の危機というか…。本当に、いつか臨也は食べられていそうで怖い。
その臨也は、至近距離の静雄には免疫がいつまでたってもないので顔は更に赤くなったまま、口をパクパクとさせている。
「あ~…静雄、人が思うことは人それぞれだから。岸谷は岸谷で当時思うところがあったんだろうし、お前はそれで……駄目だな。食い物からは離れてやれ」
「…そうか?」
パ。と静雄が手を離すと、臨也はパタリと床に倒れ込む。流石に哀れに思った新羅がポンポンと臨也の頭を撫でると、顔を隠すためか新羅の腰に抱きついて「もうヤダあれ……」と小さく呟いた。
これで自覚してないからなぁ。と新羅はため息をつきつつ、しかし、双方自覚したら本当に食べて食べられてとなるので、そんな報告はまだ聞きたくない。と、現状で良しとすることにした。
「ちなみに、門田は何だと思うの?」
「?」
「臨也の目。僕は今でも、夕焼けみたいな色だなぁって思ってるけど」
「ン~……火、か?」
「火?」
「基本的な認識として、火は赤って言う印象だろ?うかつに近づくと危なそうだから警戒色か」
「え、ドタチンそれは酷い」
しかし、静雄のを聞かされた後だと、それがありがたくも思う臨也である。
昔、この色は血の色だと言われた。
確かに血も赤だし、人間にはなくてはならない色だ。でも、小さな子供からしてみれば、血は不気味で嫌な印象を多く持たせる。
嫌がらせと、不気味さを含んだ恐れの意味で、この色は血の色だと言われた。
「~~~~~…」
「……良かったじゃない、臨也」
「うるさい黙れ新羅」
「ちょっ…締めつけないでよいたい!」
それを昔、面白半分で語ったのは、新羅とセルティだけだ。でも、心のどこかでその辛さを吐露しているだけだと知っていたのだろう。あの時、新羅は暖かいホットミルクをくれて、セルティはまるで子供にするように、ギュッと抱きしめて頭を撫でてくれたのを覚えている。思えばそれは、初めてセルティに出くわして、新羅の家へと連れられて行った時だった。
今もあの時と同じように、少しだけ、暖かい。
「……え、と…」
「?」
「どうした臨也」
「…………」
でも、素直に礼など言うのは恥ずかしいので。
「よ、余計なことばっかり言う新羅の分のプリンなんて食べちゃえ静ちゃん!!」
「えっ!?」
「あ、良いのか?」
「ちょ、駄目だって!!こら臨也、離して!」
「い・やv」
何その無駄に良い笑顔!!と叫びながらも、静雄がプリンにスプーンを入れたのを見て、新羅はパタリとうなだれる。
そんな三人を見て、どうせ新羅には臨也の分が行くだろうと、門田は嘆息しながらも自分の分のプリンを食べ始めた。
あとがき↓
あ、紅い目について、あまり書けませんでした…。そこへ行く流れを上手く作れなかったです…。
こ、こんな感じでよろしいでしょうか?