「…」
「……」
「……」
「………何か、言うことはあるかしら」
「「大変申し訳ございませんでした」」
新宿一の情報屋と関西の腕きき情報屋は、一人の女性によって正座させられていた。
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説明するには、時は30分前に遡る。
ロケットを見つけて喜び勇んで、ついでに静雄にあって、しかも自分があり得ない事を思ってしまったことに混乱して、女になると思考回路も違うのか。あとで新羅に診てもらおう。なんて考えながら、家に帰ってくると。
「お帰りなさい…。何処に行っていたのかしら?」
恐い顔で仁王立ちしている、助手と遭遇してしまった。
波江が帰って来たのは、臨也が帰ってくる1時間前、六実が焦りながらも各方面にロケットを無くしたー!と叫びながら荷物整理をしていた時だった。
意外と早い帰りに焦った六実だったが、臨也の不在はそう誤魔化せるものではない。
何とか粘って10分。しかし、臨也からのロケットが見つかったというメールを波江にも見られてしまい、洗いざらい話す羽目になってしまったのである。
「リツのあほ…」
「しょうがないじゃん…リンの助手こあいよ…」
「何か言ったかしら」
「「いいえっ!!何も!!」」
見事に息の合った返事に、波江は呆れと感心を含んだため息を漏らした。外出したと聞いた時は本当に心配していたのだが、無事な姿を見てほっとしている。もちろん、それとこれとは別なので、表情には出さず正座させているのだが。
「全く…ただでさえ、今は女の身体でいつも通りにできないんだから、外には出るなって言ったじゃない。大変だったでしょ」
「うん。何か、名刺とか一杯もらって、あとチンピラとか、男にも声かけられて大変だった」
「……へぇ」
臨也は気付かないが、六実は分かった。波江のこめかみに何かが入る。
「あ、でも絡んできた奴らは路地裏で潰しといたから!」
「そう、それならいいわ」
あ、戻った。
「あ…でも、名刺は押し付けられたから持って帰って来ちゃった……」
「…それ、貸しなさい。処分しておいてあげるから」
「?はーい」
再びこめかみに何かが入ったが、名刺を受取ってほくそ笑む姿と、何も知らずに「波江が楽しそうだからいっか?」と首を傾げる幼馴染に、六実も二人がいいならいいか。とつっこみを諦めることにした。
しかし、
「で?誰かにあって、ばれたりはしなかったのよね?」
「…………………え゛」
次の瞬間、臨也は墓穴を掘ったことを理解し、逃げだそうとするが、
「っつ~~~~~!!!」
「リン!?」
「痺れたのよ、バカね…。さぁ、て」
痛みと言うか、痺れで涙目の臨也の顎に手をかけて上向かせた波江の顔は、ひどく楽しそうだった。
「だ・れ・に、会ったのかしら?」
あ、俺終わった。
臨也はそう悟った。
あとがき↓
次は、新羅大ピンチ…!?
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