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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    三話目。

    最近、笑顔動画の某ボカロ曲にめっちゃはまっております…。キャラソンでほんとに歌ってくれないかなぁ…とかちょっと妄想してみたり。

    三話目です。拍手返信は後ほど上げます。すみません。


    『if.~La bonne médecine a un goût amer~』





    その日、新羅が玄関の扉を開けた向こうに立っていたのは、予想していたのとは違う人物だった。

    「えぇ…と、確か君は…」
    「岸谷新羅、ね」
    「あぁ。勿論僕が岸谷新羅だ」
    「そう…じゃあ、」



    一発殴らせなさい。



    一般的に見て美人の部類に入るその女性は、新羅に見事なボディーブローを叩きこんだのだった。





    ********************





    セルティは、玄関の方で何かが倒れるような音が聞こえて、まさか久しぶりに臨也が静雄と派手に喧嘩して治療に来たのだろうかと、慌てて玄関まで走った。
    しかし、そのセルティが認識した光景はあまりにも意外なもので。
    髪の長い、見覚えのある女性が腰に手を当てて仁王立ちし、やけに達成感のある笑みを浮かべている一方で、その女性の前で新羅は腹を押さえてうずくまっていた。
    あぁ、あの女性は、臨也の助手だと以前紹介された女性だ。

    『し、新羅!?』
    「痛たたた…ず、随分綺麗にきまるものだね…」
    「えぇ、おかげ様でね。貴方の腐れ縁から護身術を少し教えてもらったのよ」

    女性は悪びれた様子もなく、堂々とそこに立っている。セルティは慌てて駆け寄って新羅を起こしたが、新羅は痛みが引かないのか手を腹に当てていた。

    「で…何か御用かい?」
    「えぇ、私はとりあえず、一応、それなりにすっきりしたからいいわ。本題は…こっちよ」

    そう言って、波江が自分のすぐ後ろを見る。
    セルティが何だろうかと思うと、その後ろにあったのは見覚えのあるコートだった。しかし、波江の後ろに隠れて出てこない。
    …?何故、後ろに完璧に隠れられるのだろうか。
    あれは、臨也のコートだ。そして、臨也は波江よりは背が高かったはずだ。
    そこまで考えた所で、波江は冷え切ったような声で新羅に問いかけた。
    否、確信を持った声を放った。



    「貴方、臨也に何を飲ませたの?」



    何をいきなり、と思ったセルティだが、同時に波江が後ろの人物の腕を強引に引っ張って、自分達の目の前に晒す。
    そこにいたのは、背も小さく、服も女物で、髪も長ければいつもの人を食ったような表情もない。しかし、どう見ても、

    『臨也…?』
    「……う、うん」

    セルティのPDAによる問いに躊躇ういながらも頷くと、臨也…らしい少女はまた再び波江の後ろに隠れた。

    一体何が起きたんだ。まさか彼女の、波江の言った事が本当ならば、信じたくはないが新羅が臨也に何かをしたということだろうか。
    信じたくはない。それに、自分のような存在がいるのだから、臨也の身に超常現象が起こったって不思議ではないのではないだろうか。

    そう思っていたセルティだが、新羅の嬉しそうな言葉によって、それは綺麗に打ち砕かれた。



    「うん、予想通り美人さんだね臨也!君に盛ってよかったよ!!」



    その言葉に「もう一発殴っていいかしら?」と爽やかに笑う波江を慌てて抑える臨也。何故に当事者の方が抑えるんだ。と思いつつ、セルティは見事な裏拳で新羅を沈めたのだった。










    ********************










    『…じゃあ、この間取りに来た睡眠導入剤の中に…?』
    「………た、ぶん」
    「全く…。盛るなら正々堂々と盛るべきだわ、他の薬と混ぜるなんて」

    そこなのか…?と波江の言葉に首をかしげつつも、セルティは二人にコーヒーを出した。臨也も落ち着いたのか普通にソファに座ってくれてはいるが、それでも、いつもの定位置ではなく波江のすぐ隣に座っている。
    それが少し寂しいと感じたが、この中で一番最初に頼ったからか、波江に無意識に頼っているのだろう。

    『すまない。新羅なら、もう少しで目を覚ますと思うから…』
    「もう起きたよ。セルティ…君の愛の拳は大歓迎だけど、ちょっと過激すぎたよ…」
    『す、すまない…』
    「あぁ、君が謝る事ないんだよ!僕は君から得られるものなら「良いからさっさと解毒剤を渡しなさい」

    新羅の言葉を見事に遮ったのは、やはり波江だった。
    出されたコーヒーを飲みほした波江は、目を細くして新羅を見ている。

    「このままでいると、体内のホルモンバランスが崩れる可能性があるわ。どうやってこんな薬を作ったのか興味もあるけど、それはあとでじっくり貴方を吐かせることで得ることにするわ」
    「は、はは…。君の助手はなかなかに過激な人だよね、臨也…」
    「…ほっとけ」

    臨也はそう一言呟いただけで、また黙り込んだ。どうやら、自分には専門外だと考えたようで、波江にすべて任せるようだ。

    「まったく、そんなに暗い顔してちゃ美人さんが台無しだよ~?まぁ、セルティには「いいから、解毒薬を出しなさい」………ない、んだ」
    「……は!?」

    そこで、初めて臨也の表情が変わった。怒っているというよりは困惑している。という感じだが、それでも素早く新羅の胸ぐらをつかむ。

    「どういうことだよ、ないって!?普通用意してるもんだろ!」
    「いや、成功したらしたでもうこのままの方がいいかな~…って?」
    「ふざけんな!俺にこの格好のまま情報屋の仕事しろって!?」
    「え、あ、臨也?ちょ、落ち着、」
    「しかも、こんなんじゃ池袋の街出歩けないじゃん!ドタチンとかにも会えないし、四木さんとか、お得意様にはちゃんと会って仕事しないと駄目なんだよ!?」
    「ちょ、揺らさないでって…!……………はぁ、でも、君ならその身体でも上手く立ち回ることはできるだろ?そこら辺はちゃんと考えたよ」

    セルティと波江に止められて新羅を揺らすのを止めた臨也は、ボスッとソファに身を沈めた。
    確かに、立ち回り方を変え、出歩くのではなく、人を使って情報を収集だってできる。実際、今日はそうやって緊急対処したのだ。国内外を問わず存在する情報屋のネットワークを使えば、今まで通り仕事だってできるだろう。
    その代わり、現在のお得意様が、会っても大丈夫か、信頼できるかを再確認しなければならない。
    生身で会うなど、女の身体の方が危険が多い。精神は男の物だが、脳まで女の考え方に近くなっている気がする。
    だから、悪ふざけだとしても、新羅は解毒剤くらいちゃんと持っていると、作っていると思って、何とかここに来る間、感情を押し殺してきたのに。
    感情が爆発して、涙が押し寄せてくる。

    「…………………し、新羅のバカァ~~…」
    「え、ちょ、そこで泣くの!?ちょ、泣かないでよ。これが知れたら私が門田と静雄に殺され…」
    『新羅、お前…』
    「ちょっと、泣かせないでよ」
    「え、セルティ!?」

    その前に、女性二人によって死の淵に立たされそうである。

    「新羅のこと、少しでも信用した俺がバカだったぁ~…」
    「え、僕のこと信用してたの!?それはちょっと意外…って、ごめんごめん、謝るから!謝るからその拳を仕舞ってください!!」

    その後、愛しい恋人と泣きじゃくる友人と怒れる友人の助手という女性三人(?)によって、新羅は誠心誠意、努力して解毒剤を作ることを誓ったのだった。





    あとがき↓
    波江さんを通常三割増しで格好良くしようという信念(?)の下に書きました。

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