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「あぁーっ!!この私が贋作つかまされるだなんてっ!」
「贋作じゃなくて複製画でしょ。良く出来てるじゃん」
「そうはいってもねぇ!この私が…!!」
「はいはい…。まったくもう。ほら、紅茶のお代わりは?」
「いるわっ!!」
新宿のとある高層マンション。そこにいたのは、甘い空気など一切感じさせない男女二人だった。
女性はソファに座って自棄酒のように出されたお茶をがぶ飲みし、青年の方はのんびりとその美しい少女の絵を眺め、しばらく飾ろう。と適当に立てかける。
「これは返すの?」
「えぇ、もちろん。だから情報売って」
「あぁ、例の『名探偵』ね…。いいよ。格安料金で売ってあげる。悪戯に加担してほしいなら通常料金にするけど」
「相も変わらずの商売上手ね…。いいわ、通常料金に道具をそろえる為の割り増しで」
「了解…っと。夕飯は?これから買い物なんだけど」
「食べてくわ。買い物にも行く」
慣れた様子で腕を組んで出ていく姿は、完成されたような一対にも見える。別に腕なんて組まなくても。と以前臨也は言ったのだが、こんな美人と恋人気分味わいたくないなんて、男として終わってるわね。と言われ、何故かそれ以来こんな感じである。
「今度は、何処に出かける予定なのさ」
「海でもいいわね~。他にもほしいものはあるし。あ、ねぇ。潜水艦持ってる奴と繋ぎは取れる?」
「あぁ、いいよ。水中の魚の写真なんか、撮ってきてくれると嬉しいな」
「あら、案外可愛いこと言うのね。いっそのこと一緒に行く?」
野菜を選びながら、具体的な言葉は出さずに話を進めている二人は、当然のことながら周囲の注目も浴びている。しかし、慣れているのか気づいていないのか、二人は笑っていた。
ちなみに、その視線の中には「あの折原臨也が、特定の女と…!?」と言うのも含まれているだろう。
「それもいいね…。君のお仕事の見物もできるし」
「あら悪趣味…。でもそうね。たまには、盤面に立つ側でもいいんじゃないかしら。どうせだから、クルーザーにも乗らない?」
「生憎、あぁ言うところのデッキは日に焼けて苦手なんだよ」
女の子みたいなこと言うのね、とからかいの声がすれば、すぐ赤くなるんだよ。とため息をつく声も聞こえてくる。
「まぁ、機嫌はなおったかい?」
「えぇ、後は美味しい料理と…素敵な話が、聞ければ」
もちろん、悪戯もねvと笑う彼女に、臨也は苦笑した。とりあえず、籠に石を詰めて、あと、絵を保護するために一揃えしておこう。複製画だろうが、素晴らしい芸術は芸術だ。
「じゃ、帰ろうか」
「えぇ」
数日後、見事にその仕返しは達成されるのだが、再び仕事を邪魔されたりということも続き、同じように愚痴る光景が新宿のとある場所で繰り返されるのは…まぁ、当然といえば当然かもしれない。
あとがき↓
怪盗紳士は、波江さんに近いな。と思って。波江さんよりも男勝りで男らしい(?)幹事はするけど、似てると思います。