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ふと、思いついたものを長編で!
先に明記しておきます。半分ネタばれの気もする…。
注意事項:
パラレルです!
オリキャラ注意!
妖怪とか妖精とか超能力とか色々!?
暗い…と、思う。
あ、あと重要なのは…
メインキャラはセルティと臨也と、『森厳さん』!でも、まだキャラがつかめてません!
あ、拍手コメント返信は、明日にします(汗)
とりあえず、予告のような序章のような…。
それは、熱い夏の日だった。
季節感を全く無視した格好のその男は、怪しさ満点、警察に通報してくれと言わんばかりの恰好で、しかしいっそ感心するまでの堂々とした体で、そこに立っていた。
「うっわ、あやし…」
「何であんなんが住職と話しとるん?」
その怪しげな男と、坊主が話すその光景を、少し離れた所から見つめる子供達の姿があった。
楽しげに、愉しげに見つめる子供達。
「さっき、一条の方のお社様でも見たって連絡来たで。何かこまっとんのとちゃうんか?」
「こまっとるおっさんが、あないな恰好で神社やら寺やら回るか?むしろ厄介事の持ち込みとちゃうのん。晴明様にも前教えてもろたけど、何も知らずにわけわからんもんに手ぇ出すアホはいつの時代もぎょうさんおるらしいで?」
「むしろ、何ぞ企んどるんとちゃうか~?見てみぃ、あの風呂敷…」
一人の少年が、その男の持つ、一つの風呂敷に目をやった。それにならって、他の子供達も顔を出してそれを見やる。すると、幾人かは眉をひそめ、幾人かは目を輝かせた。
「声や!か細いけど」
「女やなぁ。なんや、怨念の詰まった壷とかなんかか?」
「いや、人形かもしれへんで。人形には入りやすいんやろ?」
「どっちにしろ、碌なもんやないなぁ…」
「蟲毒かもしれへんで?興味本位でやるアホもおるし…」
「俺らやとわからへんのぉ。おぉリュウ。お前できひんか」
「いや、まだちゃんと使えてへんし…第一見とぉない」
それは、子供らしからぬ会話であった。
そしてリュウと呼ばれた少年の言葉に、せやな。と皆が頷く。
するとそこに、小さくも響く声が現れた。
「首やな」
「っ!?」
「な、なんや…驚かせんなや!」
「急に出てこんといて!思わず大声あげるとこやった」
その声は、子供達から少し離れたところ、建物の完全な裏側、怪しい男も、坊主も見えない場所。
そこにいる一人の少年から発せられた言葉だった。その傍らには、一人の少女がにんまりとした顔で立っている。
「あんたら、何やっとんの?夏休みやからって宿題サボって…ヒマワリの水やり、うちらだけで終わらせたんやけど」
「あ…」
「わ、悪い…」
「つい、あのおっさんの事が気になって……」
「堪忍してや!リツ。…………でも、何で首ってわかるん?」
少女に皆が口々に謝る中、一人の少年の呟きに、その少年はかすかに笑った。
「声。が、」
「声?」
「暗い、ここはどこ、身体はどこ、『私』はどこ、目が開かない、エトセトラ…さっきからうるさいくらいや。声や声やて言うだけで、どんなこと言うてるかちゃんと聞かんと」
「せやねぇ。きっと、女の生首や!」
二人の言葉に、子供達が耳をすませると、確かに、綺麗な女性の声が聞こえた。まるで鈴のようなその声は、不安と、寂しさと、戸惑いに満ちている。
「あのおっさん、どっからあれ持ってきたのかしらへんけど、あれを何かに使う気やな?そんで、京界隈の寺社仏閣当たりまくってるんやろ」
柱にもたれかかった一人の少年がそう言うと、多分ね。と、頷く。
「住職もこまっとる見たいやし…何ぞ、邪魔した方がええかな?」
「え~、でも、あのおっさんに逆にうちらがどうにかされそうになったらどないするん?嫌やでうち」
「うちも…あの声は、どうにかしてやりたいけど」
う~ん…と、悩む声。そこで、一人の少女が声をあげた。
「せや、リン!あんたでどないならん?あんたがあのおっさん抑えられれば楽ちゃうの?」
「あぁ、あとリョウと、」
「リツもおった方がええなぁ。リサは、ちょうどええ容れ物しっとるか?」
「ちょうどええかは分からんけど…あるには」
次々と出されていくその言葉に、小さな悪戯は始まって行く。
それを呆れたように見ている、柱にもたれかかっていた少年に、途中から来た二人の子供が近寄った。
「リョウ」
「おぅ、何か、俺らが出張ること前提になっとるぞ?」
「ええんやないの?別に。適材適所や。それにしても、怪しいおっさんやなー。このくそ暑い時に白衣何ぞ着おって…周りの人間のつらさを考えろや」
そっと、下からのぞき見る。その男は住職に隠れているものの、はっきりとわかる、一昨日子供達が世話になった職種と同じ服装をしていた。
しかし、雰囲気が違うのは、一昨日会ったのが小児科医だったからだろうか、それとも、あの男が特殊なだけなのだろうか。
「……まぁ、ええんやない?人それぞれのポリシーがあるやろ」
「いやそれもまた違うような……。てか、リン。お前東京戻るとか言うてへんかったか?呼ばれたとか、先生から聞いとったんやけど」
「あぁ、何も言われへんかったし、どうせ中学上がる前に一回会うからそん時でええかなと思て、行かへんことにした」
「はぁ?」
リョウは、眉をひそめた。
さらっと行かないと決めたリンもリンだが、その親も、預けておいて何も言ってこないというのはなんなんだ。もしや、存在を忘れているんじゃないのか…?
「まぁ、あっちかて、六歳の子供が来たら、忙しゅうてただでさえ大変なのに、面倒やろ」
「……いや、それ六歳の子供のセリフやないから…。まぁええわ。おい、決まったんか~?」
「おぅ!」
「なぁ、あのおっさんから首ごと取れるか?」
「それは無理やないか?なぁリン」
「せやね…面倒なことになるから、それは嫌や」
「そやったらやっぱり……」
大人達には聞こえない、小さな声が保たれた喧騒。
それは、子供達が小学校に上がったばかりの夏。
ゆらりゆらりと立ち上る、蜃気楼の暑い夏。
「ほんなら、一つ始めよか」
リン、と呼ばれた少年の目が、紅く赤く煌めいて、契約の始まりを、白衣の男に告げる、ほんの少し、前。
あとがき↓
フィーリングオンリーなので、話し言葉に変なところがあったらすみません!!
後で書き直すかも…。次は、時間軸現代、池袋~!