その日、岸谷新羅は、意識を覚醒させるとともに、自分の身体が思うように動かない事に気がついた。
そして、
「………ねぇセルティ。臨也」
「?」
『どうかしたのか』
目の前に、愛しい恋人と、友人。
珍しいが、仕事でよく組む二人は、仕事の内容などでは衝突などがあるものの、実は意外と仲が良い。
「これ、は、どういうことかな…」
「新羅は気にしないで良いよ」
『あぁ、そのままでいてくれ。何の心配もない』
あっさりばっさり、綺麗な笑顔と共に返された言葉に、荒縄で縛られてたら気にしないわけがないだろう。と思いつつも、新羅はそう言えなかった。
動けても、きっとまな板の上の魚のような、陸に上げられた魚のような、そんなビチビチッとした動作しかできないのだろう。
『これはどうだ?』
「あぁ流石セルティ。いいね、これにしようか?そろそろ夏ものの時期だし。あぁ、浴衣なんか作ってみようか?俺教えるよ」
『ありがとう…。いいのか?』
「うん、どうせ妹達のも作るしさ、一人で作るより楽しいだろ?」
あぁ、そうやって笑ってたら無害なのに、なんだってその手に持ってるのは可愛いワンピースとかキャミソールとかなんだろうね?
しかも、何で化粧道具一式とカツラまであるのかな。
「あぁ、これ?流石の新羅にも教えられないなぁ」
「…あれ、私、声に出してたかい?」
「うん。さって、と!その荒縄取って、お着替えしよっか、新羅v」
ハートマークでも付きそうなそのセリフと共に、セルティが見事に縄を斬る。と共に、新羅の身体はセルティの影で拘束された。
「ちょ、ちょっとセルティ!?」
『悪いが、私は謝らないぞ新羅』
「何故だい!僕がそんなの着たって気味悪いだけだろう。むしろ臨也の方がいいんじゃないかい!?」
「やっだなー新羅。俺もその内やるかもしれないけど、ほら。君の中の人が今度やるかもしれないんだし、ここは1クール先に放送してるこっちが先取りしてやるべきだろ?」
「何その理屈っ!?臨也、君って時々、かなり電波なこと言ってるよね。中の人ってなんだい!?」
『気にするな新羅、私も臨也と同意見だ』
「セルティ!!?」
ということは、セルティも中の人云々が分かるのだろうか。
まさか、臨也はなにか、妖精に近しいものでも持っているのだろうか…?
「さーって、着替えようね~」
『最初はこれだな』
「へっ?ちょ、あーっ!!僕の白衣~!!」
「あ、白衣が良いの新羅?じゃあ看護服?」
「違うっ!!ちょ、
誰か助けて~~~~~!!」
さて、どうなったのかは……
次の日、新羅が自室から引きこもって出てこなくなり、セルティと臨也が正座させられて、門田と静雄に説教させられていたことから、察してください。
あとがき↓
注意:これはあくまでフィーリングです。感じ取って書いたものなので、気にしないでください。
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