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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    100000hit-07!

    事実上二日ぶりですね~…。ふふ、疲れました…テストはボロボロだし…。
    そんな心を癒す為にも、書く…!

    「夢の続き」、そして、「おそらくそれは、」の続きでもありますね。これは元々臨也か臨美かで迷っていた代物…。です。
    性別指定がなかったので、静ちゃんに思いっきり気づいてもらうことにしました。色々と。

    サンホラ知ってる方っていますかね…?そこからちょこっと引用してるので、注意書きとして書いておきます。
    ちなみに、こちらが使った曲です↓



    喧嘩人形+将軍+将軍の少女


     




    新羅の家から、臨也の死の知らせを運んで来た女の声から逃げるように外に飛び出した静雄を待っていたのは、池袋の街と、陰鬱な雨だった。





    ********************





    ノミ蟲が…臨也が死んで、俺は嬉しいはずだった。嬉しくなきゃいけないはずなのに…。何故、こんなにも、その事実を拒否している?
    自分の手で殺せなかったからか?否、あいつが以前刺されたらしいと聞いた時、自分は別段どうとも思わなかった。
    どうでもいいとさえ思ったのだ。なのに、何故?何故、自分は…

    「っきゃ!」
    「!」

    がむしゃらに走っていたその時、路地裏から出て来た誰かと静雄はぶつかった。
    慌ててその身体を支えると、それは真っ赤な傘を差した少女。

    その赤が、あの紅に、重なる。

    「っ!」
    「す、すみません。ありがとうございます!」
    「え、あぁ、いや……あ?あんた…」
    「え、あ、昼間の…」

    そこにいたのは、昼に紀田正臣と共にいた少女だった。
    買い物でもしていたのだろう。その手には、食材が詰め込まれた可愛らしい大きなバッグがあった。

    「わりぃ、前よく見てなくてよ…」
    「いえ、気にしないでください。私も音楽聞きながら歩いてましたから…。濡れてますけど、大丈夫ですか?」
    「え…あ、あぁ……」

    その少女は、優しく笑った。

    「良かったら、うち、近くですし、傘お貸ししますよ」



    その笑みは何故か少しだけ、臨也を彷彿とさせるものだった。










    ********************










    何故、ついてきてしまったんだろう…。
    断って家まで走ればいいものを、静雄は何故か沙樹の申し出を断れずについてきてしまった。

    「正臣は出かけてるみたいで…。あ、タオルも貸しますよ!」
    「え、あぁいや…」
    「風邪引いちゃったら駄目ですって!はい」

    にこりと笑った少女は、そのまま、キッチンに行ってコーヒーを出してくれた。
    静雄の向かいに座った少女は、ニコニコと笑ったまま、先程まで聞いていたMP3プレーヤーを棚に置く。
    それは、見た事のない形だった。細長い蛍光色の黄緑色。近くには、それとセットだろう黄緑色のイヤホン。しかし、それは使われてはいないようだった。

    「コーヒー、冷めないうちにどうぞ。お口に会うかわかりませんけど…」
    「あぁ、サンキュ……。うまい、な」
    「本当ですか?良かったぁ……えっと、それ、」
    「?」
    「臨也さん、から、淹れ方を教えてもらって…」

    臨也。
    その言葉を聞いた時、込み上げて来たのは怒りよりも悲しみだった。
    もういない。
    毎日喧嘩ばかりしていて、気に食わなくて。視界に入るどころか、この池袋に来たと分かった瞬間、殴りに走る相手。
    でも、
    もう、
    いない。

    いない……人。

    折原臨也でも死ぬのだと、あいつも人だったんだと、思い知らされた気がした。

    「臨也、とは……」
    「…私、あの人の信者だったんです。それで…正臣と会って」

    その言葉で、あいつの計画で引き合わされたんだろうと思った。でも、それでも今もこの少女は、その少年と共にいる。

    「色々ありました。臨也さんと正臣は険悪な仲になっちゃったし、私も入院してたし…でも、その後、私と正臣は池袋を出て…臨也さんに、色々とお世話になって、暮らしてました」

    色々。と、言えない事も多いのだろう。
    それでも少女は、言葉を選びながら喋ってくれた。

    「臨也さんが…死んだ、の、は、半月前…です」
    「あぁ…新羅のとこにいた女の医者から聞いた」
    「そうですか…」
    「…あんたは、知ってんのか」
    「え?」
    「あいつが、死ぬまでの半月、何してたのか」

    そう聞くと、少女は少々迷ったような顔をしながら、小さく頷いた。

    「一緒にいました…。私と、正臣と、臨也さんと、臨也さんの助手の人と、四人で…」
    「そう、か…」
    「朝起きたらおはようって言って、出かける時も、帰ってきても、家には明りがついてて…たった、半月、でしたけど…家族ってこんなのかな、って…」

    でも、臨也さんは、死んでしまいました。

    そう呟いた少女の瞳には、ほんの少しだけ涙がにじんでいた。
    しかし静雄にはどうする事も出来ず、茫然と話を聞くことしかできなかった。
    穏やかに過ごしていたという。
    まるで、『当たり前』のように。
    それはとても意外で、しかし何故か、一層哀しみを感じさせるものだった。

    「何で臨也が死んだのか…分かるか」
    「いいえ…。でも、ちょっとやり残した仕事があるから、ちょっと時間はかかるけど頑張ってくるよって…」

    それに行ってらっしゃいといった。正臣と一緒に、今日はお夕飯を頑張って作るから、日が暮れる頃までには帰ってきてほしいと。
    それに笑って頷いてくれたのに、あの人は帰ってきてくれなかった。
    二週間以上経って、やっと、その人は帰ってきてはくれたけれど、それは違う形でだった。
    違う名前を背負って、あの人は帰って来た。
    泣いた。
    泣いたけれど、どうにもならなくて。
    もしもの時にと波江が渡されていたそれを頼りに、この池袋にまた戻ってきたのだ。

    「………わりぃ、嫌なこと思い出させたな…」
    「いえ…大丈夫です。それに…沢山、思い出はありますから」

    少女が手に取ったのは、アルバムでも写真立てでもなく、先程手にしていたMP3プレイヤーの、色が違うものだった。
    その色は、明るいオレンジ。

    「それ…」
    「臨也さんから、買ってもらったんです。正臣には黄色。私にはオレンジねって…。何だか特別製らしくて」

    見てみますか?と手渡されたのは、何故か黄緑色の方だった。
    存外丈夫らしいそれは、何曲か既に入っている。

    「……それ、差し上げます。貴方に」
    「は?!あ、いや、でもこれは…。あ?」

    先程、少女は自分にはオレンジで、黄色は紀田正臣の物だといった。なのにこれは、黄緑色。

    「…それは、一番の特別製らしいんです。他のより簡単に壊れないようになってるって、笑いながら言ってました。でも、絶対に渡せない人の分を、作っちゃったんだって…」
    「………」
    「『絶対に渡せない人』って、貴方です。よね?」

    だから、貴方に差し上げます。
    そう言った少女の頬笑みは、やはり、何故か臨也を彷彿とさせるものだった。










    ********************










    「ただいま~…って、あれ、誰か来てたのか?沙樹」
    「うん。途中で会って、傘を貸したの」

    帰ってきた正臣は、テーブルの上の来客用のマグカップと、傘が一本なくなっていることに気付いた。
    そして、黄緑色のMP3プレイヤーが無くなっていることにも、気づく。

    「……平和島静雄、か?来てたの」
    「うん。そうだよ。途中で会ってね?……あれは、多分あの人のだと思ったから」

    ずっとずっと、誰に渡すのだろうなんて、沙樹は思っていた。正臣も波江も知っていたようだったが、自分は知らなかった。しかし、それを聞く事も出来なくて…。
    でも、今日、分かった。
    『特に丈夫に』。
    そんな特別製は、良く喧嘩をする人へ。
    そんな人、この池袋では彼しかいない。

    「……良かった、かな。渡して」
    「良いと思うよ…。んじゃ、夕飯作るか。今日は俺が作るよ、何が良い?」
    「えぇ?そうだなぁ…あの時作ったグラタン、もう一回作ってみようよ。また今度…食べてもらう為にさ」
    「……いいな、それ。材料は?」
    「あるよ!」

    穏やかに時は流れる。
    短くとも共に過ごした、その時間が遠く彼方の思い出となっても、それでもまだ、まだ…

    「ごめんね、ただいま…遅くなって、ほんとに、ごめんね」

    再び出会える喜びを、自分達は知っているのだから。





    **********





    少女から傘を借りた静雄は、そのMP3プレイヤーを手の中で転がしながら、家へと歩いていた。
    自分が少し力を込めたら砕けそうなそれは、そうしても亀裂さえ入らなかった。
    見た目に反して丈夫なそれは、どうやら本当に、自分の為の物なのかもしれない。
    そう思って、立ち止った静雄はそのイヤホンを耳に入れた。
    選曲なんてよくわからないし何が入っているかもわからないので、適当に、No.01と表示されるそれを再生する。

    すると流れて来たのは、少女のような、少年のような声だった。

    再び、静雄は小さく歩きだす。路地裏に入り、曲調に合わせてゆっくりと。

    それは、白いカラスと、黒い魔獣の物語。
    曲と言うよりはミュージカルの一曲のように思えるそれは、この雨には似合わぬ、明るさを含む曲だった。
    しかし、静雄の足は、その曲がセリフになったところで、ピタリと止まった。

    それは、確かに、曲の中のセリフであるはずなのに。

    臨也からの言葉のように、思えた自分がいた。

    セリフが終わって再び元の曲調に近いところまで戻るが、静雄の足は動かなかった。
    セリフが、歌詞が、そのすべてが、臨也からの言葉に聞こえた。
    次の曲に行こうとするそれを止めて、静雄は再びその曲を再生する。
    何度も、何度も、ただそこに立ち止まりながら。
    雨脚は強くなり、前が見えないとは言えないまでも激しいその雨の中、家まであと少しだというのに、静雄はそこに立ちつくして、何度もその曲を聞き続けた。

    気づけば、傘は傍らに落ちて、再びずぶぬれになっていた。

    しかし、それでも、静雄は聞き続けるのを止めなかった。
    何分経っただろう、何回聞いただろう。
    やっと静雄が口に出したのは、曲とは何ら関係のない言葉だった。

    「ンだよ、これ…防水もついてんのか…?」

    掠れたように出た声だった。
    静雄は、これが天から降ってくるのか、自分の目から流れてくるのかも、分からなくなっていた。

    「おい……ふざけんなよ…俺は手前と何一つ約束なんざしてねぇじゃねぇか…たったの、一つも……!」

    曲を聞くたびに、聞き続けるごとに、近づいてくる影がある。
    何度も、何度も見た夢。
    いつの間にかできた、壁(人々)の向こう。

    たった一人で立つ、こちらを見て、にこりと笑って……いつもそばにいてくれた、その、子供は。



    「ふざけんなッ……!!やっと、やっと…!」



    その子供は、



    「見つけたと、思ったのに…!」





    雨の中、雨音にかき消されながらもその声は響く。
    もう届かないと思いながらも、思わずにはいられなくて、言わずにはいられなくて。


    ……泣かずには、いられなくて。





    あとがき↓
    しんみりシリアスになってしまいました…。臨也さん未登場ですが、「夢の続き」の、同日のお話です。飛び出した静ちゃんのその後。
    ほんっとーに、シリアス一辺倒ですが…こんな感じで、よろしかったでしょうか?
     

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