五つ目です。昨日一本上げようと思っていたのに疲れて寝てしまいました。いや、他の人がほとんど自分より年上って、慣れてないと…楽しいが、何を話せばいいのか分からなくなる。
さて、「逆鱗に触れることなかれ、」の、話せるようになった一月後から更に一月。です。
新宿組+喧嘩人形
二月前。臨也は久しぶりに堪忍袋の緒が切れるという現象を体験した。
そうなる前に遊んだりしてストレス発散するというのに、あの喧嘩人形はちょっと良くなっていたそれを一気に悪化させるから称賛ものだと思う。
「波江ー。今日はそれで終わり」
「えぇ、わかったわ。今日もでかけないの?」
一月前まで雲隠れしながら仕事をしていたせいで、波江にも色々と迷惑をかけたが、事情を察していたらしい彼女は殴りこみに来たか分からないが件の人物が来ても自分の場所は教えなかった。しばらくは頭が上がらないだろう。
「うん。最近国内の情報関係は仕事来てないからね、海外の同業から面白いのが色々流れてきてるけど…。あ、これも面白そうだな」
「……私はあなたの交友関係が不思議に思えてならないわ」
この世界のネットワークは、ある意味臨也も含めた情報屋同士の支配下にあると言っても過言ではないと時折思う。国が傾く切欠になるほどのスキャンダルから、小さくて見落としそうな情報まで、彼らは握っているのだ。
恐ろしい以外の何物でもなく、そして、それはこうやって仕事の手伝いをしていくうちに、折原臨也と『同類項』に分類される人間が大多数だということも悟った。しかも、この雇い主よりタチの悪い情報屋とて存在しているのだ。世の中、どんな人間がいるか分からないものである。
「そう?彼らは仕事上でも私生活上でも信用できる『友人』だよ。話も合うし。ま、職が同じだと同じような人間が集まるもんなんだよ」
「それには納得してあげるわ」
思考を読まれた気がしつつ、処理したデータを臨也に渡して、波江は帰り支度をする。
「あれ、今日はすぐ帰るの?」
「えぇ。久しぶりに誠二と会う約束をしてるの」
「……じゃあ、弟君によろしく」
絶対あの張間美香もいるだろうと思いつつ、ここでそれを言うと自分が恐ろしい目にあうだろうと確信している臨也は、玄関まで出て見送る。
「じゃ、明日は午後からでいいよ」
「わかったわ。とりあえず、あんまり引きこもると身体に悪いわよ」
「はーい」
助手が帰って行くのを見届けて、臨也は自室に戻って仕事を再開する。
怒っている、わけではない。もう、怒ってはいない。
でも、あそこまで一方的に喧嘩をするのなんて久しぶりだったから、あちらがどう思っているかが不安で、
顔を、見れないのだ。
********************
「……寝てる、の、か」
まだ日が高い時間。
池袋で見かけなかった臨也の家に来た静雄は、忘れ物をしたという助手の女に入れてもらい、臨也の自室に入った。ちなみに、その助手はさっさと帰っているので今はいない。
久しぶりに入った臨也の家は、間取りは二月前と変わらないものの、どこか生活感がそぎ落とされていた。
「……」
目に、隈…。疲れてんのか…?
二月前、久しぶりにマジギレさせてしまった臨也を見た時、否、キレさせてしまったと自覚した時、本気でヤバいと思った。
今までそれは自分に向けられたものではなかったので、どちらかというと宥めたり傍観したりしている方だったから、自分に向けられてはっきりとわかった。あれは、恐い。
見たのはいつだったか…。多分高校時代だ。
臨也がし向けさせたのではなく、単純に喧嘩を売りに来たバカな人間数十人に対して、半分は自分が減らしていたものの、途中から乱入した臨也に残っていた人間はぼこぼこにされたのだ。
…俺のことをブラコンだとか言うが、こいつもなんだかんだ言ってシスコンと言うか…過保護な気がする。
そう見えないのは、妹からの愛が重すぎるからだろう。うん。
しゃがんでその顔をのぞくと、書類の束が頬に押しつけられて後になっている。
「臨也…ほんと、悪かったから……次からは注意すっから……」
許して、欲しい。
「し……ちゃ、…?」
「っ!?臨也…」
起きてたのか、と聞く前に、寝ぼけた臨也が静雄の首に腕をまわしてぎゅーと抱きついてきた。まるで、恐い夢を見た子供のように。
「臨也…?」
「静ちゃん…おこってない?あんな風にけんかして……」
「…怒ってねぇよ。あれは俺が悪ぃんだし…。てか、今までの二ヶ月間謝ろうとしてもお前どっか言ってるし俺見つけたらすぐ逃げるじゃねぇか」
「だって……こわいもん…」
「?」
「静ちゃんまでおれから逃げたらとか思うと…こわいもん………」
どうやら、本当に寝惚けているらしい。そうでなかったらあの折原臨也がこんなこと言うものか。
だが、本当にもう怒ってはいないとわかって、静雄は臨也の背中を軽く叩きつつ、もう一度怒っていない。と告げた。
「ほんと…悪かった」
「……うぅん…いい………」
そうとだけ残して、臨也は再び寝入る。
今度は、机の上ではなく、暖かなぬくもりの中で。
********************
「……?」
臨也が目を開けると、机の上にいたはずなのにいつの間にかベッドで寝ていた。
瞬間移動?いやそんなバカな。
そんなことを考えていると、自分の目の前に誰かがいることに気づく。誰だろう。というか何故自分以外の人間がいる。そう思って視線を上げると、そこにいたのはこの二ヶ月間接触を断ちまくったはずの喧嘩人形だった。
「………はい?」
いやいやいや、ちょっと待て?俺鍵かけたよね。で、仕事してて眠くなったからちょっと仮眠取ってたよね、机の上で。なのになんで静ちゃんがここにいるわけ?まさか、ドア壊して入って来たとかじゃないよね。いや、そしたら流石に起きるな。壊されていないとしたら……波江?でも何で戻ってくるんだ。忘れ物とか?あぁ~そしたらちょうど静ちゃんが来て入れてあげた。と。俺の助手は優しいなぁ。でも、これはないんじゃないかなぁ…
軽く混乱しつつも事態の把握に努めた臨也は、がっちりと回された腕に起き上れない事を悟ると、諦めて再び寝る体勢に入った。時計を見るとまた四時だし、夕飯はあとでいいか。と、この際目の前の抱き枕を最大限活用してやろうと再び目を閉じる。
目の前の身体が、抱きつくと動いた気がしたが、まぁ気にしない事にしよう。
一方、
やはり起きていた静雄は、どのタイミングで起きればいいのか分からず、再び寝始めた臨也にため息をついた。
ついつい昼寝なんぞしてしまったが、どうしよう……。もしやこいつがおき上がるまでずっとこのままか…?
だがまぁ、いいとしよう。この二月どうやったら謝れるかと考え続けたせいもあって、気にしていたことがなくなってどっと疲れた。
「……ま、いいか」
そうして、静雄もまた目を閉じる。
とりあえず二人が寝ぼけた頭を覚ますのに、あと三時間は必要であった、とだけ明記しておこう。
あとがき↓
あっれ~?甘くなったー……。もっとギャグにしようと思ったのですが……。とりあえず波江様GJ。
というか、うん。臨也さんが乙女化(?)してしまったわ…。どうしましょう。
書き直しの要請ありましたら受けます(汗)
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