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可愛く出来たかだけが不安ですね…。心境としては、以前5000hitで書いた「綺麗なお姉さんは好きですか?」のその後みたいな感じ。ちゃんと付き合えたよドタチン!とお父さんに報告するところもいつか書いてみたいかも…。今回はそんな願いも込めてワゴン組と波江さんに御出まし願いました。
よし、では、可愛く出来てますよーに!(>人<) ←拝んでます。
戦争コンビ+ワゴン組+助手
カタカタ、とキーボードを叩く音が響く、日中の新宿のとある高級マンション。
今日は確かそろそろ出かけると言われた時間だったな。と波江が時計で時間を確認したその時、軽く慌てたような足音と共に、一人の少女…否、女性が入ってきた。
今年の流行らしいマキシワンピは、白を基調として、薄いピンクを中心とした小さな花が散っており、そして女性に…臨美にしては珍しく、それは足をほぼ完全に隠すものだった。
「もう用意できたの?」
「うんっ!あのね、あのね、お夕飯までには帰ってくるよ!」
「昼は?」
「食べてくる!波江も弟君とでしょ?」
その言葉に頷くと、これあげる!という言葉と共に渡されたのは、最近できた美味しいと噂のイタリアンの店の、ランチ半額券。来良の子達にもらったのだが、自分は使わないからと困っていたのだ。ちょうど良かったと、臨美は頷く。
「これならいい口実だし、私使わないから!じゃ、行ってきまーす!」
「あ、ちょ、ちょっと臨美!」
「う?」
玄関先で臨美がミュールを履こうとしているところに、慌てたように波江がやってきて、一つのスプレー缶を渡された。見た目は制汗剤のそれだが…。うん、多分えげつない薬品が入ったスプレーだ。いざという時使えということだろう。
「それ、走りにくそうだから気をつけなさい。後…あの男も含め、男どもが何かしようとして来たら、容赦なく踏みつぶしていいから」
「…え、えっと…ぜ、善処します…?」
臨美は時折、というかすぐ忘れるが、波江は臨美の『交際相手』を、決して快く思ってはいなかったのだった。
**********
所変わって池袋。
いつものバーテン服とは違い普通の服を着た静雄は、周囲からの視線なんてバーテン服じゃねぇから物珍しいだけだろ。と全く気にせずに、待ち合わせ場所と決めたそこで煙草を吸っていた。
そこに、近くのパーキングにいたらしい門田達がやってくる。
「よ、静雄。臨美と待ち合わせか」
「門田…。おぅ、昼飯食べて買い物だけだけどな。家のマグカップぶっ壊して…」
ちょうどそこにいた臨美が、今度一緒に買いに行こう。と言って、今回のデートとなったのである。
「イザイザが女の子だったってのも意外だけど、シズシズと付き合うことになったってのも意外~」
「いや、全くっすよね…。どんな経緯で…」
「……俺としては、今まで付き合っていなかった事の方が不思議でならない」
そう小さく呟いた門田に、渡草達は首を傾げた。臨也が女であったと知らされてからさんざんと愚痴を言われているが、実際に目にした事はないし、自分達が居る所、『臨也』である時はほぼ喧嘩中であったので、どうあっても想像できないのが正直な感想だった。
「お前も珍しいな…。私服」
「あ?あぁ、まぁたまにはな。臨美と幽が楽しそうに人を着せ替え人形にするもんだからよ…。それん中から選んできた」
臨也が女性である事実をかなり前から知っていた幽は、臨美である時の彼女と結構仲がいい。特に、静雄を着せ替え人形にして遊ぶ時が一番生き生きとしている。
これだって結構高いブランドの服だというのに、人並み外れた経済力を持つ二人だからカード一括なんて日常茶飯事。
既に、二人と一緒に買い物に行って金額の事に口を出すのは諦めている静雄だった。
「そういえば、イザイザと昨日会ったけど、何か可愛くなった!って感じしたよねぇ」
「そうっすか?」
「そうだよ!ゆまっち、ちゃんと見た?大体イザイザが男装しなくなったってだけでもさ、ただでさえ人の目引いてた顔が女の子に変わってもう!あわよくば、と狙う男の視線がまるわかり!」
「………ほぉ…」
「へぇ…」
グッとサムズアップした狩沢の言葉に、不穏な返答をしたのは静雄と門田だった。
片や、池袋最強。片や来神高校時代、戦争コンビの喧嘩の仲裁役として、校内のみならず池袋中で一目置かれた存在。その実力も健在である。
「狩沢、そいつらの事は後で詳しく教えろ」
「門田、俺にも回せ」
「え、しなくたって大丈夫だって!イザイザ通れば、彼女持ちでも大抵鼻の下一回は伸ばすから」
あ、地雷踏んだな。
踏んだっすねぇ。
渡草と遊馬崎がそんなのんびりと考えながら、数歩後ずさり、それに習うように面白そうに笑った狩沢も後ずさる。
不穏なオーラが二人を包んでいたが…それは何故かすぐに霧散した。
というのも、
「静ちゃんもドタチンも、なんか怒ってどーしたの?」
臨美がやってきたからだった。
**********
突然の出現に、門田も静雄も驚いて目を見張って一歩後ろへ下がった。
しかし、神出鬼没なのは癖なんか日常なのか、全く狙ってなかったらしい臨美は首を傾げた。
「の、ののの臨美っ!?」
「うん、臨美ちゃんですよ~。静ちゃんはやいね、待ち合わせまであと3分あるのに」
「俺だってたまには早く来る!…つか、その……」
「ん?」
珍しく白を基調とした、ワンピース。柔らかい素材は風に揺れてはためいていて、同じく白のミュールと、同じくらい白い細い足が見える。
小さなバッグを肩から下げ、長い黒髪はワンピースの白によく映えていた。
「…に、あ…ってる」
恥ずかしいのか、僅かに視線をそらして顔を赤くしながら言う静雄に、予想外だったのか臨美はパッと顔を輝かせた。
「ほんと!?マキシワンピなんて来たの初めてだったんだけど、似合う?!」
「お、おぅ…。白って、珍しいな」
「黒だと、見た目も私も暑いしね。たまにはいいかなって。ふふ、静ちゃんに似合うって言ってもらえるなら、たまには服装に悩んでみるのもいいね」
「どーゆー意味だ…。まぁいい。行くぞ」
「はーい!あ、ドタチン達もまたね!」
さりげなく臨美の手をとって歩き出した静雄に、また嬉しそうにほほ笑んだ臨美は、振り返って大きく門田達に手を振る。
それに手を振ることで返した狩沢達は、深くため息をついている門田を見上げた。
「何か…ドタチンって二人の結婚式でイザイザから『両親への手紙』みたいなの読まれるよね絶対」
「そうっすね…」
「そうなると、二人を会わせたとか言う岸谷先生は仲人か?」
「……お前らなぁ…」
面白がる三人に、門田としては返す言葉もない。実際、その場面を考えると本当にやられそうだからだ。主に新羅主導で。新羅は、あの二人を誘導する事が結構上手い。特に臨美は仕事関連以外では結構素直に新羅の言う事を聞くため、高校時代は大変だったものだ。
「まぁまぁ、二人の様子だとまだ先だろうし!」
「傍から見てるとバカップル通り越して新婚に見えるけどな」
「デートの理由が新婚っぽいっすよね!マグカップの為にとか!」
「……お、前らなぁ…涙が出てきそうだから止めてくれ…!」
あの二人の仲を見守る半面、臨美に対しては親のように構ってきただけに、そう面白おかしくとは言え語られるとつらいものがある門田だった。
**********
雑貨店へとやってきた二人。
周囲の目を引きながらも確実にそれを無視していた二人だった。
「どれにする?静ちゃんが使うんだし、気にいったデザインがあればそれにしようよ」
「おぅ…。あ、あっちのから選んでもいいか」
「?」
静雄が示した先に会ったのは、プレゼント用などでよくある、揃いのペアマグセットの方だった。
「?何で二つ?」
幽君のはあったよね。と首を傾げた臨美に、これまた恥ずかしそうにしながらも、静雄は小さく
「……お前の分だよ」
いつまでも来客用じゃ駄目だろうが。と呟いて、臨美の手をとって歩き出す。
しばらく言葉の意味を掴めなかった臨美だったが、何回か脳内で反芻するうちに理解したらしい。ほんの少しだけ、頬が赤く染まった。
「……バカ」
「ぁ?」
「…アリガト」
「………おぅ」
どこのバカップルだと思いつつも、見た目も人目を引くなら行動も新婚ラブラブカップル並みの二人に、周囲が同じように頬を染めて、ついでに携帯のカメラを起動したのは、流石の二人も知らないことだった。
あとがき↓
というわけで、付き合い始めの二人でした…。はい、予想以上に甘くなってしまい…。こんなんでいいんだろうかと思いつつも更に甘くしてみました。本当なら、ドタチンの嘆きあたりで止めようかとも思ったのですが…。あんまりいちゃいちゃしてないじゃない!と天の声がおっしゃるので、砂を吐きそうな気がするのを頑張って書いてみました…。
い、いかがだったでしょう?