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に、小説書きます…。オフとかの方で書いたりはしてましたが、こちらにあげるのは久しぶりです。
通販の方、最初に入金確認した10名の皆様に、本日ファミリーマートからお送りいたしました。楽しんでいただける作品となっていることを祈りつつ…。
さて、久々の幽玄はまだまだ夜の池袋です。次から戦闘…!
それは、奇妙な光景だった。
誰も、彼に気づかない。
あんなに楽しそうに歩いているのに。あんなに嬉しそうに歩いているのに。
リズムを取りながら進むその足に、存在に、誰もが気づかず通りすがる。
彼と知り合いの門田達も、粟楠会の人間も、あの平和島静雄でさえ、その、3メートルも離れていない場所を通りすがるのに、何も見えていないように普通に、歩いていた。
その姿が何故か、とても輝く『闇』に見えて。
その『黒』に魅入られた二人―――――竜ヶ峰帝人と園原杏里は、思わず、その『黒』を追っていた。
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「♪~♪~~」
『今日は、どうする』
「そやねぇ、少し遊んで帰りたいなぁ。最近身体が鈍ってしょうがないねん」
『リツ達が来れば鍛錬もできるだろうが…。いや、その前に十分な広さがないから、何処でやっても誰が見ても妖怪大決戦だな』
「嫌やなぁ。見た目的には人が戦ってるんやから『妖怪』大決戦はないやろ」
聞いている人間がいたら絶対にツッコミが入りそうな会話をしながら、臨也は悠々と池袋の街を歩いていた。
いつから、こんな風にできるのか、正確には覚えていない。しかし、これを見つけるには相当『視』る力が強いか、根本的に力が強いか…そんなところだろう。
『ところで、リン。いい加減気づいていると思うのだが』
「うん。気づいてる子がいるなぁとはおもっとったけど、よりにもよってあの二人とは思わんかったわ…」
『なんだ、知り合いか?』
「いや、赤の他人やけど」
それはどうでもいいという意味での『他人』なのか、それとも普通の意味での『他人』なのかとつっこみを入れたくなった椿だったが、ため息を一つついて、別のことを尋ねることにした。
臨也が、基本的に他人への関心が薄いことなんて昔からだ。
『あの子供達が、お前を視れることは…』
「もしかしたら、とはおもっとったけど…どないしよ。ついてくるんやけど」
『結界も超えられそうだな…。いや、いっそ巻き込むか』
「……とうとうボケ『てなどおらん』………せやったらなんで」
椿は、臨也の方から器用に下りて、その隣を歩く。もう、二人は池袋西口公園に足を踏み入れていた。
『鍛えればなかなかのものになるだろう、あの二人。サポートを先日の…紀田と三ヵ島といったか。二人に任せてあの二人を前線に入れれば、バランスはいいんじゃないか。それに、そろそろ10年。お前の【任期】も終わるだろ。ロウも、同じくらいに引き上げて引き継ぎしたいと言っていたしな』
「………」
任期。
言われた当初は京都でそないな話聞いたこともないんやけど。と反論したところ、あんたまだ若いんやから他にも色々やるための緊急措置や。他の地域に出張してる子もそうやで?なんて事も無げに『先生』に言い渡され、最長10年以内に戸籍・住居・そしてもちろん自分自身も関東圏からでなければならない。
幸い、義務教育中の中学時代はカウントされていなかったので、あと二年ほどだろう。
「引き継ぎやったら、こっちの大学志望がおるやろ?」
『土地勘あった方がいいじゃないか』
「鍛えるの手間かかるやん。承諾してくれるとも思えんし」
『そこはお前の話術で丸めこめ。あの二人とも知り合いなら、いい機会だしあの四人でセットにした方が、楽だ。色々と』
鍛えるのが面倒なら実践に放り込め。となかなかスパルタなことを言う椿に、臨也はため息をついた。
そう言われても、基礎から学ぶということは、退屈かつ難しいのだ。物ごころついた時から、そんな世界に囲まれていた自分とは違い、あの二人はれっきとした一般…人、だ。多分。
「お前が責任とる?椿。半分でも持ってくれるんやったらえぇよ」
『まぁ、私が言いだしたことだしな…。幸い、少し待てば武闘派が届く。それまでに巻き込んで絡め取れ、リン』
「………悪役みたいなセリフやな…・ま、えぇよ。さて、そろそろ頃合いや、椿」
『あぁ、そうだな。………あ、リン』
懐にある扇子などを確認していた臨也は、立ち止って自分達が来た方向を見ている椿の呼びかけに、どないしたん?と応じた、その時。
「……………………………あ」
『見事にあっちに行ったな…。あれか、力は持ってても使いこなせなさ感があったからか?』
「それか、気配消し過ぎてたかもしれへんなぁ…」
目的の『モノ』の気配が、自分達が来た方向へと向かって行く。それは、自分を『視』た子供達がいる方向だ。
しかし、二人はけして慌てることなく、ゆったりゆったりと、踵を返してそちらの方へと戻って行く。
『さて、どうするリン』
「まぁ、波江に連絡できるようにはしとこうかなぁ…。あぁもう、幻術でもかけておけばよかったわ…」
めんどくさい。と言わんばかりに髪をクシャリと混ぜた臨也は、次の瞬間には真剣な、鋭い目をして、その『モノ』を『視』た。
「椿、ガキは頼んだ」
『あぁ。ま、命を取られないようにはしておこう』
そう強いようにも見えないが、一般人にはこれから刺激の強い光景となるだろうなと思いつつ、椿は次の瞬間聞こえてきた穏やかな口上に、耳を傾ける。
不思議なほどに響くそれは、西洋の…マザーグース
Humpty Dumpty sat on a wall.
Humpty Dumpty had a great fall.
All the king's horses and all the king's men
couldn't put Humpty together again.
あとがき↓
久しぶりの幽玄でした。ここでは子供達が巻き込まれる代わりに、あんまり、大人は巻き込まれない…。