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もし、もしもだ。
高校時代のちょっとした呟きが、少年の好奇心を刺激し、
実現してみたいと思ったら。
それから、およそ六年。彼が、その呟きを忘れず、日々精進し、それを研究していたとしたら…。
そして、それが完成したら………。
そしてもちろん、それを誰かに飲ませたとしたら?
どんなことが起きるのだろう…?
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朝。
いつも通り起きて、朝ご飯を食べて、助手を迎えて仕事をして、ちょっと池袋に遊びに行く。
そんな、なんてことない日常の始まりである、朝。
いつも通りに朝6時30分に起床した臨也は、しかし、ベッドの上でピシリと固まったまま、朝食を摂ることもせず、着替えることもせず、二時間ほど固まっていた。
何故か。と言われても、それは本人にだってわからない。無敵で素敵な情報屋にだってわからない事はあるのだ。だから、情報を求め、仕事をしている。
冷静な臨也の脳は、今日の仕事のスケジュールを脳内でつらつらと流していたが、それも数十回目となると、冷静であるように見えてテンパっていることなど一目瞭然だろう。
何だどうしていやこれはでも絶対いやそれでもどうしてこうなった原因は昨日は何をして一昨日は…。
冷静な脳は、原因を探るべく本日のご予定から昨日、一昨日と、自分が何をしたかを遡る行動に移り始める。
そして、それが一週間ほど前に差しかかろうとした時、家のチャイムが二回鳴る音と、その後に鍵が開く音が聞こえた。
その音に肩を震わせた後、やっと、固まっていた臨也の体は動きだす。
物凄い速さで、玄関へと走るために。
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一方、波江はいつもなら玄関を開けたらこちらに出迎えに来るはずの雇い主の姿がないことに違和感を感じながらも家のドアをロックした。
もしや、もう外に出たのだろうかと考えるが、いつも今日の分の仕事を波江に渡してから出る習慣なので、それはあり得ないと却下する。
「まったく…。…?」
寝坊でもしたのだろうか。と呟きかけたその時だった。パタパタ。というよりは焦ったように速い足音が、こちらへ向かってくる。
まさか、徹夜明けだったのか。と波江が脳内で説教をする準備を整えた時、その目に飛び込んできたのは実に意外なものだった。
「波江ぇ~!!」
「っ!!?」
黒い髪は自分と同じくらいまで長く、艶めきながら、風に踊っている。
その顔はまるでビスクドールのように白く、また、その中で紅い瞳は異様なまでの存在感を放っていた。
背は、自分より少し低く、何処を見ても小さく細い。
見覚えのあるスウェットは上だけで、元からダボダボだったせいか丈がふとももの半分ほどまであった。下がないのは、おそらくウエストが合わないせいだろう。
見覚えのある部屋着、瞳、声のトーンも少し高いが、この家に住む人間はたった一人で、この面差しは折原家の双子とそっくりである。
「ちょ……あなた……臨也、よ、ね?」
ようやく絞り出した言葉に、自分に抱きついてボロボロと泣いている女性はコクコクと頷いた。
他人にあって、ようやく安心したらしく、波江に抱きついて離れない。
「どうして……女になってるのよ?」
「俺が知りたいよ!!」
とある日の朝、折原臨也は、男から女へと変化していた。
あとがき↓
犯人バレバレですよね~。ですよね…。最初は、静ちゃん抜きで新宿組+闇医者さん達でお送りします。静ちゃんは、しばらく蚊帳の外v