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久しぶりです。
久しぶりすぎて…長くなってしまいました!!
いえ、昨日も一応、ついつい上げたんですけどね。やっぱり、自分のことをネタにするのとでは違って…。
さて、臨也さんの外国でのパルクール…。どうせなら、と、イタリアの街を走り回っていただくことにしました。
ただ、房藤はイタリアに行った事がないので、すべてぐーぐる先生からの知識と思ってください。
注意事項:ギルが普憫じゃなくなっています。エリザさんとナチュラルに一緒にいます。
あと、ルートさんの補佐として内政を取り仕切ってます。
情報屋?+『国』
フランスに来て、半年。
幼い頃によく訪れたフランスの街は、印象は違うものの、その街並みはさほど変わっていないように見えた。一週間もたてば様変わりする東京の街と比べると、何だか変な気分になる。
そんな臨也も、フランスの街並みと暮らしに慣れ始めた、とある秋。
「日本と違って飛行機使わなくて良いってのは…楽だよねぇ」
臨也は、フランスから隣国、イタリアを訪れていた。
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久しぶりの休暇、どうせなら以前から行ってみたいと思っていた国へ行きたいと、最初に臨也が選んだのはイタリアだった。理由は単純明快。親が連れて行った事があると言っていたが、流石に赤ん坊の時分だったので覚えていなかったのだ。
わざわざ南イタリアにしたのは、ただ単にアグリジェントの遺跡を見たかっただけである。明日はローマに行こうかな。と、ちょっとした観光気分で、悠々と臨也は歩いていた。
ナポリを。
「それにしても…北に比べれば治安が悪いらしいとか日本じゃ聞くけど、そんなんでもないなぁ」
ジェラート美味しい…。流石にこれは自分じゃ作れないか。なんてのんびりと思いつつ、臨也は広場の噴水の縁に座っていた。
しかし、忘れてはいけない。臨也はこれでも、池袋の街で最強と現在進行形で呼ばれている喧嘩人形、平和島静雄と長年対等にやり合って来た人間である。
臨也の基準は、一般人の基準ではなかった。
現に、臨也の東洋人から少しかけ離れた容姿は、周囲の目を引いているし、何処からどう見ても観光客なので、その財布を狙おうとする目もあった。
しかしまぁ、そんな視線とやってくるスリなど、『あの』静雄と比べれば月とスッポン。
意識さえせず、財布を盗られることを防げる。
その為、臨也はそれはもうイタリアを堪能していたのだった。
「あ、店の人達にお土産…っつっても、近くの国の物買ってってもなぁ…。食べられるものにしよ。美味しそうなところないかな~…」
ジェラートを完食し、臨也はひょいと立ちあがる。すると、ふとポケットからパスケースの角が見えて、取り出した。
チェーンでしっかりとジーンズと繋がれているそのパスケースには、一枚の写真。
新羅が、わざわざ空港まで届けに来てくれたものだった。
そういえば、自分が留学すると知れば、怒りにしろ何にしろ何かしらリアクションがあると思っていた人物からは、何の反応も帰ってこなかった。
日本で使っていた携帯は海外でも使えるようにと変えて、ついでに番号も変えてしまったし、連絡する術はない。
今頃、どうしているだろう。
そんな考えだけが頭をよぎる。
「…ちゃんとご飯食べてるかな。てか、就職できたのかなぁ…。好き嫌い再発してなきゃいいけど…でも、俺が目を離すとすぐドタチンに頼んでたし………」
…って、何母親みたいなこと考えてる俺。俺は静ちゃんの母親でも静ちゃん専用のおさんどんでもないっつの。
はぁ。と深くため息をつき、パスケースをポケットにしまった。
思い出したら、観光する気が失せた。帰ってごろごろ寝てようかな。と思った矢先。
「スられたぁ?!」
と、大きな声が後ろから聞こえて来た。
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その日は、ちょうどヨーロッパの会議の日で、今回の議会場であるイタリアに来ていた。
世界会議だと踊りまくっている会議は、ヨーロッパだけだとそれに比べれば順調に進み、予定を狂わすことなく、中日として設けられた休日だった。
珍しく会議に来たギルベルトと、アントーニョ、フランシスはせっかくだから呑みに行こう食べ歩こうとイタリアの街に下りていた三人は、噴水の前でどんよりと落ち込んでいるエリザベータと、その隣で心配そうにエリザを見ているセーシェルに会ったのである。
どうかしたのかと三人が話を聞くと、買い物をしていた二人はこの噴水で休憩していたところ、エリザベータがバッグから携帯を出そうと中を見ると、財布がなかったのである。
つまり、
スられた。
「ちょ、おい。どこらへんでやられたか覚えてるか?」
「ちょっと待って、思い出すから…。えぇとえぇっと…!」
「ロヴィーノに念の為に連絡してくるわ。流石に危ないやろ」
「そうだな、頼む。セーシェル、お前の財布は?」
「あぁ、私のは無事っすよ!」
ギルベルトが冷静に二人に接し、アントーニョが今日は自宅にいるであろうロヴィーノに携帯で連絡を取る中、ふとセーシェルが一言も喋らないフランシスの方を見ると、彼は噴水を挟んで自分達の反対側を見ていた。
「?フランシスさん?どうかしたんですか?」
「ん?あぁいや。知ったような顔がいてね…」
「え?」
フランシスの視線の向こうを見ると、そこにいたのは、黒髪赤眼の、恐らく東洋人らしい顔立ちをした青年だった。
エリザベータの叫び声に驚いたのだろう。青年の方も、こちらを凝視している。
そしてフランシスの方を見ると、少しだけ驚いたように眉が上がり、トントン、と軽い足取りでフランシス達の前へとやってきた。
「やっぱり、ボヌフォアさん!」
「ボンジュー、イザヤ。今日は休暇?」
「えぇ、ちょっと他の国に行ってみたいと思って。……ボヌフォアさんの、連れの方、ですか?」
臨也が視線を向けたのは、唸りながら思い出すエリザと、その手前でしゃがみ込んでそれを待っているギルベルト。
「あぁ。スリに会ったみたいでね…。君は大丈夫かい?」
「スられそうにはなりましたけど…気配で分かるんでかわしました」
「…はい?」
フランシスは、会って数カ月のこの東洋人の青年が心底不思議だった。
自分の知り合いである日本人もまた不思議と言えば不思議だが、時折、この青年はそれを上回る。掴みどころがないというか、雲のようにふわふわとしていて掴ませてくれないような青年だった。
「スリは日本でも多いのかい…?」
「さぁ…少なくとも自分はあった事ないです。やられる前に潰してますから」
ついでに、顔に似合わず好戦的な青年だった。ということも付け足しておく。
君は本当に面白い子だね。とフランシスがため息交じりに話そうとした時、エリザベータがいきなり叫んだ。
「あ、あぁー!!」
「思い出したか?!」
「あいつ!」
バッと立ち上がってエリザが指さした先には、数人の、帽子をかぶった少年達。
「あれ、あの藍色の帽子!!広場に来る前に、ぶつかった!!」
そう言って皆の視線が集中すると、少年達はこちらが見ている事に気付いたのか、さっと路地裏へと散らばって行く。
フランシスにエリザベータ達を頼むと言ったギルベルトは、アントーニョと二人、反対方向から探しに走りだしていった。
「藍色の、帽子…。見つかってよかったですね」
「えぇほんと…あの中には…って、貴方は?」
「うちのパティシエ見習いのイザヤ・オリハラ。まだまだ若いけど、腕は良い子だよ」
「へぇ…いくつなの?」
「今年で二十歳になりました。あぁ、あの…」
「ん?」
流石にここでぼんやりとしていたら、駄目かなと思った臨也は、持っていたバッグをフランシスの横にいた少女に預けて、靴ひもをきつく結んだ。
「え?え、あの……」
「イザヤ?」
「せっかく何で、先に行った人達のお手伝い、してきます」
そうにっこりと笑って、臨也は藍色の帽子をかぶった標的が走った方向を向く。
「ちょっと、貴方イタリア初めてなんでしょ?路地裏なんて迷うわよ?」
困惑したようにそう言うエリザベータの言葉に、臨也は足首をくるくるとまわして慣らしながら、にっこりと笑った。
「はい。なので、上から探してきます」
え?
意味がわからずどういうことかとフランシスが口を開こうとした矢先、臨也は『壁』に向かって走り出す。
その勢いは止まらず、何をする気かと止めようとした時だった。
三人の目の前で、小柄なその身体は壁の凹凸や窓枠を利用して、するすると屋根の上へと登り、瞬く間にその姿は見えなくなった。
あとがき↓
次はパルクールを使って追跡!ヘタリアキャラの名前は人名でお送りしました。ところで…キャラが分からない。という方もいますよね…。容姿などの描写はあまりしなかったのですが、よろしかったでしょうか…。
こんな簡単に人助け(?)する臨也さんなんて臨也さんじゃない!という方もいらっしゃるかと思いますが、使う切欠と思って目をつむってください…!
フランシス兄さんのお名前が間違っているという指摘を頂きまして、見たら…なってました。教えてくださりありがとうございます!