は、ちっちゃくなりましたシリーズ。
幽玄の臨也さんです。本編とは一切関係ないですよ~
来神組+
その日、静雄は岸谷家のドアを開けた瞬間、奇妙な生物と出会った。
「………」
「…」
「……」
見覚えのあるような顔立ちに、特徴的な赤い瞳。黒髪。唯一違うとすれば、10cmほどだった身長差がさらに開き、ついでに、いけすかない笑みをたたえていた顔は無表情に近い、子供らしからぬ大人びた雰囲気を映していた。
「…臨、也?」
「…なんや、あんたもうちのことしっとんのか」
その口から聞こえてきたのが、聞き覚えのあるようでない声音に加えて、その口から聞くとは思っていなかった口調であった為に、静雄は瞬時に、
「新羅ぁ~っ!!てめぇ今度はなに作りやがったぁ!!!」
犯人を断定した。
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「そんなに怒らなくてもいいじゃないか…。というか、紅茶に垂らすブランデーだと思って薬入れちゃったのはセルティなのに…」
「そもそも、その瓶に入れてた手前が悪い」
「しかし、まぁ…今いくつだ、臨也?」
「数えで11。せやから、普通に考えれば10歳やな」
門田の問いにそう臨也(仮?)が返せば、やはり口調の違和感に全員が首をひねる。静雄も門田も一瞬別人であってほしいと思ったのだが、薬物制作者である新羅がこの少年を臨也であると認めた為に、これは臨也だった。が、その口調はどうにも鳥肌が立つ。
「…手前、その不気味な口調を直しやがれ」
「初対面の人間に不気味言うとは、随分と立派な大人やなぁ。生まれて10年、育った京都の言葉つこて何が悪いん?見たところ、10数年後には東京弁つこてるようやけど」
「んなっ…!!」
「…無駄だよ静雄、この臨也、通常の三割増しで口が悪いから」
というか、口調のせいかグサグサ胸に刺さるから。
新羅の言葉に、門田もまた頷く。現状把握をまだできていない臨也とあった為に、ない事ない事言われたのだ。今の臨也があぁでよかったと、つい思ってしまうくらいにはへこまされている。
「大体、手前の家は池袋のあるんじゃねぇのかよ!?」
「育児より仕事な親が、子供一人残して世界中飛び回るとおもっとるん?変な頭しとるなぁ。京都に預けられとるんや。無期限で」
その言葉に、そういや、臨也の両親はほとんど日本にいないとか言ってたね。と新羅が言えば、臨也が少し嬉しげに頷く。
「せやけど、困ったなぁ…この薬、いつ頃切れるん?」
「あ、誘拐じゃないって信用してくれたんだ?」
「そこの眼鏡白衣とバンダナやったら考えられたんやけど、なんや直情径行のバーテン服が現れたさかい、信じるわ。この男に腹芸なんぞできそうもないし」
「あはは、さすが臨也その通り!!」
静雄は正直すぎるからね!!
そう言って手を叩く新羅に、門田は呆れ、臨也は嘆息し、静雄としては怒りのボルテージが上がっていくだけである。
「まぁ、薬の効果は一日程度だと思うから」
「ふぅん…。そういうことやったら、えぇわ。明日から出かける予定がはいっとったから」
「出かける?あぁ、小学校のとかか?」
「?学校行事やのうて、まぁ、個人的な用事なんやけど…。パリのマエストロに遊びにおいでて言われたんや」
……はい?
関西弁な臨也の、謎はますます深まるばかり。
あとがき↓
セルティと絡ませたいな~と思ったけど、長くなりそうなので止めました…。
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