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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    後編。

    新居(?)の冒険後編!というかいい加減、オフの話をしっかり書かないと…!!できれば七月までに書きあげて、印刷と製本を…!八月のイベントには行けないんで、そうなると書店に頼むかなぁ…。
    あ、でも、オフ会あるなら行きたい。予定さえあれば…!


    情報屋ファミリー

     

     




    穏やかに笑うその顔に、優しい光が差し込んで。



    「何でここにいるんですかあんたは!?」



    正臣の怒号が響き渡った。





    ********************





    その、存外大きな声は、至近距離にいた沙樹はもちろん、臨也も面食らうほどの響きを持っていた。
    思わず沙樹はへたり込み、臨也はあまり身体を動かせないものの、正臣達がいる側の耳を掌で抑えていた。
    きっと、波江のところまで届いているんだろうなと、人事のように考えながら。

    「い、いきなり怒鳴らなくてもいいじゃないか…」
    「あ、す、すみませ…。じゃなくて!引越しの準備もあるからって行った五日前!まだ病院にいましたよね!?いつの間に退院許可出て帰ってきてるんですか!」
    「だって、病院食美味しくないんだもん」
    「『だもん』じゃないでしょうが!」

    久しぶりに、こんな大声を出した気がする。
    目の前の人は、ベッドに横たわっているせいなのかいつもより弱弱しい印象を与えてくるが、それに騙されないのが紀田正臣。
    五日前、確かに、医者は『まだ車椅子などで外に出ることも許可できません』と言っていたのだ。
    だから、退院は当分先だからって、少しゆっくり荷造りして、今日引越しだったのに!

    「あんたは医者の判断をなんだと思ってるんですか!」
    「え?だってさ…」
    「「?」」

    臨也曰く、

    波江にね、『波江のご飯が食べたいよ~』って言ったんだよ。美味しいとは思うんだけど、やっぱ味薄いし、メニューもそんなに変わり映えないし、何より、見舞いに来る同僚どもが……。まぁ、これは良いか。
    それにほら、流石にこの状況じゃあ自分で料理なんてできないし。でも、病院が全部管理してるわけだから、そう簡単に差し入れも駄目だろうって。

    「…で?」

    沙樹の首を傾げながらの問いに、臨也は苦笑しながら頷いた。

    「そしたら、ちょうど来てた上司が、『簡単な書類仕事を家でやるというのなら、退院させて自宅療養させてやろう』って!いやぁ、気前がいいって言うか、自分の仕事がたまってたからというか…。利害が一致して」

    帰って来ちゃったv

    その時、確かに、正臣の堪忍袋の緒に切れ込みが入った。
    それを理解していても流石折原臨也。その後を予想していても、口を閉ざす気はないらしい。

    「でね、波江もその方が楽だし、この部屋だったら陽当たりいいし、風も気持ちいいし、玄関から庭突っ切れば運びやすいからってOKもらってさ。まぁ、どうせ入院されてても昨日あたりには退院してリハビリに通うって事にしようと思ってたから、ちょっと早くなっただけだよ」
    「そうなんですか?」
    「うん。代わりに、リハビリは再来週からに延ばされたけど」

    酷いよね、常人よりは回復力が早いかと思いますが、世間一般基準でリハビリしてくださいなんて…。

    「……言っときますが、傷が完全に塞がらないうちにリハビリすると余計悪化しますよ?」
    「やだなぁ正臣。東北の病院から傷が塞がるどころかそれ以前の問題で新宿に戻ってきたのは俺だよ?」
    「だからってですね…!」

    それとこれとは違うでしょう!と、正臣は叫びたかった。
    あの時は、『情報屋折原臨也』として、そう行動しなければならなかったのだ。ニュースにのったこと自体が予想外で、偽の情報を流して職業を無職と偽装し、勘付かれないようにと様々な工作をした。
    しかし、今は違う。焦るものなど何もない。
    ゆっくり治療していいのだ。深く眠りについても構わないのだ。
    誰もそれを妨害しないし、妨げようとすれば阻止する。
    沙樹から真実を聞かされて、臨也の、情報屋であることを何よりも嫌うその顔を見せられたあの時とは、もう違う。
    すべて終わったと言っていいのに、それでも回復を焦るのは、何だか自分達が信頼せれてないと言われたような気がした。

    「………生憎、波江に見張られてるから、そこの本棚の本を読むか庭をぼんやり眺めたりとかしかすることがなくてね。予想以上に平和ボケしてるよ」

    正臣の胸中を察したのだろう。おろおろとしている沙樹を制して、臨也は深くベッドに寄りかかりながら、ため息とともにそう呟いた。

    「それに、俺は君達のことを信頼してる。だから、ここでゆっくりしたかったんだ。リハビリとかは別にどうでもいいし…。どうも、病院は落ち着かなくてね。昔から怪我をするなんてざらにあったけど…」
    「……」
    「まぁ、リハビリを早く。って言ったのは、確実に君達や波江のせいとかじゃないから、安心して」
    「でも…」

    一度思えば、人はそう簡単に不安を払拭などできはしない。
    それを身を持って知っている臨也は、仕方がない。と、情けない大人の事情を話すことにした。



    「俺がリハビリ急いだのは、今頃仕事溜めてる奴らに仕事させるためだから。…だから、君達は何も気負わなくていいよ。…というか、気負わないで」



    君達より一回りも上の大人達の方が、今回は全くもって情けないんだから。

    そういうと、病室で会った上司達を思い出したのか、沙樹が小さく笑う。
    それにつられる様にしてやっと、正臣の肩の力も抜けた。

    「ねぇ、さっきこっちに…。あぁ、こんなところにいたのね」
    「あぁ、波江。お帰りなさい」
    「えぇただいま。二人とも、昼食はまだよね?手伝ってくれるかしら」

    扉の向こうから顔を出した波江が、臨也の笑顔に応えて、沙樹を手招いた。
    それに返事をして立ち上がった沙樹の後を追おうと正臣が二人の方を向くと、波江に、貴方は良いから。と掌を向けられる。

    「え?でも…」
    「ここで食べるから、テーブルの準備して…あと、そこの馬鹿が無理に立ち上がろうとしないように見張っていてちょうだい。臨也、テーブルのある場所、教えなさいよ」
    「はーい」

    そう言って女性二人がでて行くと、臨也は苦笑しながら、隣の部屋にテーブルがあると、近くの扉を指差した。

    「椅子も全部あるんですよね?」
    「うん、四つね。でも、俺はベッドに腰掛けるから椅子は三つでいいと思うよ」
    「わかりました…。あの、えっと……」
    「……………まったく、君も引きずるなぁ。波江くらいにとは言わないけど、この話題は終わったことにしようよ」
    「・・・」

    俯いた正臣に、臨也はため息をついた。なんだろう、自分の回りって、やっぱり女性が強い。
    なんというか、精神的に。
    しかしまぁ、正臣が弱いわけではない。
    情報屋として色々とやらかしたこともあって、自分に対してのベクトルが定まっていない事もちゃんと理解しているつもりだ。
    『人ラヴ!』なんぞと言ってたが、それは人の行動パターンや情報の流れ、そして、最大の獲物を釣るためにやってきたこと。
    本当は人間のことなんて、ちっとも理解はしていない。
    そういえば、随分前から『お前はもう少し情緒の発達を目指せ』と言われていたから、これを機に頑張ろう。と臨也は少々どころかかなり的外れな決意を表明しつつ、正臣に笑った。

    「納得できないのなら、何回でも聞けばいい。俺は、君の事を信頼して、沙樹に話すように言った。君は受け入れた。そしてここにいる。…俺はね、そう簡単に人を信頼できるほど、優しくない。そして、疑り深くて、怯えすぎていた弱い人間だ。そんな俺が、高校時代から一緒だった奴らじゃなくて、君に真実を話そうと思ったことから、ちゃんと思い出してほしい」
    「臨也さん……」

    そう。味方が欲しいなら、新羅や門田、それに静雄などでも良かった。それこそ、ある意味強力な仲間だっただろう。
    でも、話さなかった。話せなかったともいえる。でも、せめてもと、彼らに警察の手が行かないように手を回し続けていた。たった一度だけ、静雄をはめたあれは、周囲の目を欺くためのカモフラージュ。
    これからも、きっと、彼らに協力を求めようとは思わないのだろう。
    巻きこみたくないとかいう、そんな感情ではない。ただ、自分と彼らの間には、必ず一本の線が見えた。

    違うのだと、示すような線が。

    それがなかったのが波江で、それを無理矢理踏みつけてとび越えて来たのが沙樹。
    その沙樹が、手を引いて連れて来たのが、正臣。
    正直、波江の時が一番驚いたと思う。飛び越える云々以前に、線がないってなんだと、柄じゃないが混乱した。

    「君なら引き入れてもいいかな。って思ったわけじゃないけど…。何だろうね。この感情に…名前、は、つけられないなぁ…」

    いつか、名前はつけられるだろうか。
    巻きこみたくないと思いながらも、手を離したくなくて、見守っていたくて、目の前に来てくれた子供達の存在を受け入れたあの時の感情に、名前があるだろうか。

    「臨也、さん…?寝たのか……」

    変な呟きを残したまま、急に静かになった臨也に、恐る恐ると正臣が近づくと、その瞳は閉ざされ、小さく寝息が聞こえてきた。
    話の途中で寝るとは。と呆れながらも、疲れていても、自分達にお帰りといって、自分の愚痴のような叫びを笑って受け入れてくれていたのだ。

    「……病院から勝手に退院した事は、まだ納得してないンすからね…」

    でも、考えてみればそうだ。平和島静雄や門田などではなく、自分が今、この人と顔を合わせられているということ。
    それはまた違う、信頼の形でもあるのかもしれない。

    「…昼はまだかかるかな…」

    とりあえず、派手に音をたてないようにテーブルと椅子を持ってこようと、正臣は隣の部屋へとドアを開ける。
    日差しは柔らかく、今、やっと一区切りついて、きっと池袋は降って湧いたような平穏に混乱しているに違いない。
    しかし、街はすぐにそれを受け入れて、それを日常にしていくのだろう。

    「……これからどうすっかな」

    その呟きに、不安や悲壮感はなく、ただ、未来を憂いた小さな期待と、希望が詰まっていた。





    あとがき↓
    前半ギャグ(?)後半シリアス気味にお届けしましたが…。自分でも途中から何を書いているのか少々分からず、臨也さんに語らせちゃえ!と書きました…。むずかしいー。
     

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