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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    今度こそ最後(汗)

    失礼いたしました…(汗)
    さて、ホントに最後です。
    もしよかったら、これも、加筆修正してなんかしたいな…なんて考えてますが、とりあえずそれは右においておいて。

    さて、あれからまた一週間経ちました。
    長いです。


    『if.~La bonne médecine a un goût amer~』





    とある日の、池袋。
    最近やけに静かだなと人々が思う今日この頃。

    「ドッタッチ~ン!!」
    「っわ!?」

    とあるパーキングで、そんな声が響いた。





    ********************





    「臨也か…何だか久しぶりだな。どこかに旅行にでも行ってたのか?」
    「ん~?いや、家に籠って仕事してただけ~。ちょいちょい外には出てたけど、ドタチン達に会う時間が無くってさぁ…。あ~…何か、やっと解放された感じ」
    「……?ま、まぁ、よくわからんが、お疲れさん」
    「うん。あ、これお土産?」

    大人しく頭を撫でられていた臨也が、何処からともなく取り出したのは、おなじみの四角い箱。

    「ケーキ!?」
    「ケーキっすか!」
    「うん。さっき新羅達のところにも届けに行ったんだー。まぁ、ちょっと出来は悪いけど」

    そう言われて箱の中身をみるが、別に、そう悪そうには見えない。むしろ、気合の入った逸品だ。

    「新羅には、俺の助手謹製のケーキを送ったんだ。波江の奴、普段俺にも食べさせてくれないくせに、今回は『是非』新羅にって…セルティも喜んで受け取ってたし…何でだろ。というか、いつの間にあの二人、仲良くなったんだ?」
    「俺にそう言われてもな…」

    門田は、臨也の助手にあったことはない。この臨也の助手を務めることができるんだからなかなか優秀なんだろうが、どうやら一癖ある人物のようだ。

    「あ、でもね。その後ホットケーキやいてくれたんだよー」
    「……そ、そうか。良かったな」

    …本当に助手か?姉とか従姉とか、そう言うものではないんだよな?
    どちらかというと、雇っているというよりは頼っている。もしくは懐いているという気がしてくる。

    …話が合うかもしれない。

    「さって!静ちゃんに逢わないうちに帰ろうかな」
    「今日は電車か?」
    「いや、ちょっと行ったところの駐車場に車止めて、



    「いぃぃぃざぁぁぁやああぁぁぁ!!!」



    る…」

    次の瞬間、臨也はその100mは優に遠いだろう場所からの声に反応して、脱兎の如く走り始めた。
    いつもなら、人の神経を逆なでするような笑みで出迎えると言うのに。
    少し前の、自販機でケーキを押しつぶした事件の後の、押し問答のような鬼ごっこに少し似た状況に。何かあったのかと門田は眉間に皺を寄せた。

    「おいっ、こら手前臨也!!待ちやがれ!」
    「だっ、誰が待つか!ちゃんとお仕事しておいでよ静ちゃん、君の上司が困ってるよ!!」
    「トムさんにはちゃんと許可もらってっから大丈夫、だっ!!」

    その言葉に門田達が静雄の来た方向を見れば、確かに、少々呆れ顔の田中トムの姿があった。
    こちらに気づいて、彼もまたワゴンの方へ寄ってくる。

    「よ」
    「どうも。…あの状況、は…」
    「あぁいや…俺も良くはしらねぇんだよな…ただ、一昨日からあんな感じだ」
    「一昨日…」
    「とにかく、情報屋はナイフも出さずに逃げ回ってるし、静雄は静雄で自販機もガードレールも持たずに追い回してるぜ?あぁ、例外は標識な」

    愛用(?)の標識は、どんな時でも攻撃手段として持ち出すらしい。確かに、走り逃げる臨也に今現在、投げつけている。

    「あ」
    「あ?」
    「あ~…捕まっちゃったッすね」
    「イザイザ惜しいっ!」

    狩沢と遊馬崎が鬼ごっこの終わりを告げる声をあげ、それにつられて、門田や渡草、トムもまたそちらを見る。
    そこには、臨也のコートのフードを掴んでズリズリと引きずってくる静雄の姿があった。

    「あれ、投げたりしないの?」
    「殴りもしないっすね…」
    「あ~…一昨日からあれだ」

    また一昨日からか。
    そう門田が思って、何があったのかと口を開こうとしたが、その前にぎゃいぎゃいと言いあう二人の声が聞こえてくる。

    「手前、新羅からまだ熱が出てるから外出禁止とか言われてたじゃねぇかよ、アホか!?」
    「うっさいな、熱下がったから来たんだよ!波江にもちゃんといいって言われてますぅー。ついでに、今日は新羅に来いって言われたから来たんだよ。もう帰るよ!」
    「だっれが手前の言い分を素直に聞くか!手前、そう言って一昨日俺から一旦逃げて、また夜にあったよなぁ?それも終電直前に」
    「……あ、あれは、ちょっと緊急…」
    「うっせぇ黙れ」
    「おーぼー!!」

    ………
    ……………

    …………………………

    「あれも?」
    「…一昨日からだ」

    確か、臨也の姿をあまり見なくなったのは二、三週間前。で、一昨日からこの状況。
    本当に何があったのだろうか。

    「だぁかぁらぁ、帰るから放せってばぁ!!」
    「その『帰る』が信用できねぇって言ってんだろうが!!」

    …とりあえず、この言い争いを止めよう。と、やれやれとため息をついて、門田は二人の間に入った。










    ********************










    「あら、お帰りなさい」
    「ただいま波江…。むぅう…」
    「風船みたいよ、顔」
    「風船で結構」

    帰って来た臨也を出迎えた波江は、膨れっ面のままリビングへ向かう上司に苦笑した。

    「どうだったの?闇医者のところは」
    「君のケーキに絶叫してたよ…。何入れたのさ」
    「首なしライダーの助言をもとに作っただけよ。心配ないわ」

    そうしれっと返す助手に、臨也はあの絶叫で心配ないはないだろうと思いつつも、何を入れたのかは聞かない事にした。
    代わりに、自分が食べたホットケーキに何か入れたのかと聞くと、『ホットケーキミックスに卵と牛乳』という、何とも言えない答えが返ってくる。

    「そうじゃなくてさぁ……」
    「まぁ、とにかく、風邪引いてるんだから早く寝なさい。私はもう帰るわよ」
    「…うん。おやすみ」

    玄関までいって波江を見送ると、臨也はベッドに突っ伏して、抱き枕を渾身の力で抱き潰した。
    元に戻ったのは五日前。そして、女になった時と違って何故か高熱にうなされて、何とか起き上れるようになったのが、三日前。
    それまで、簡単な仕事の処理を波江に任せていたので、自分の看病していたのは静雄だった。

    「ったく、何なんだっての…」

    最近、色んな事がありすぎておかしくなっているのだろうか。看病してもらってる時や、こうやって寝ている時、一人で池袋の街を歩いている時。
    男に戻った自分と比べても大きくて心地よい体温の手や、幽の兄だけあって整った顔が目に浮かんで。
    今更、笑うとちょっと可愛いとか、カッコいいとか、高熱にうなされていた時、寒くて寒くてしょうがなかった自分を抱きしめて寝てくれた腕とか色んなものが思い出されて…その……顔が、熱い。

    「……いやいやいや、ちょっと待て。静ちゃん相手にカッコいいとかかわいいって何だ俺…」

    もしや、思考回路は女性よりのままになっているのだろうか。どんな乙女だよ俺。と思っても、顔を手で仰いだりぺチぺチと叩いても、顔の熱は引かない。

    「……風邪の、せい、だ」

    そうだ。風邪のせいだ。
    そう思って、臨也は目を閉じた。





    ********************





    その頃、夜の池袋では、喧嘩人形と都市伝説が肩を並べて話していた。

    「…セルティ、俺、最近おかしい気がするんだけどよ…」
    『?』
    「女だったあいつは、まぁ、平均以上っつうか、そう、だったけどよ…」
    『まぁ…可愛かった、な』

    男のままであぁなのに、女で裏の世界を渡ったら、もっと凄いことになりそうだ。
    セルティとしても臨也が男であろうが女であろうがどちらでもよかったが、今回は新羅が原因であり、もしかすると命にかかわる事態になっていたのだ。
    新羅には嘆かれたが、臨也の助手のケーキ作りに協力したのはそれ故である。

    『で?臨也がどうかしたのか』
    「…えっと、その…今のままでも、何か、可愛いっつぅか…ほっとけねぇっつうか…そう、思っちまうんだよな」
    『…』

    後者は、自分も何となく思ったので肯定したい。
    臨也は、自分のことと周囲の人間達のことは大抵理解しているが、他人から自分に向けられる感情には案外無頓着だ。そうし向けさせた感情ならばともかく、それが自分の関与しない場所から生まれた感情なら尚更に。
    それ故か、少々子供っぽい。

    「……おかしいのかこれ…?」

    とうとう頭を抱え始めた静雄に、セルティは静かにPDAを向けた。

    「?」
    『そう思うんなら、そう思っていればいい。それは静雄の感情だ。静雄が決めればいいと私は思う』
    「…そうか?」
    『あぁ。静雄が決めることだ。そして、臨也が決めることでもある』
    「臨也?」

    セルティは、今日の朝臨也の家を訪れたので知っている。自室のベッドに座りながら、顔を赤くして抱き枕をグッと締めつけて独り言を言っている臨也を。

    「おい、臨也がどうかしたのか?」
    『いや、新羅の言うとおりだと思って』
    「?」

    戸惑う静雄にそろそろ仕事だからと愛馬に跨り、セルティは夜の池袋を駆ける。
    この国には『良薬口に苦し』という言葉があるが、新羅の薬は、果たして良薬だったのだろうか。
    しかし、その結果、それすらもおそらく、この街は呑み込んで受け入れるのだろう。





    苦い薬が残した甘さが、熱が、溶けて一つになるまで、あと――――――――――……





    あとがき↓
    あえて、くっついたかは言わない事にしました。だって、ここまで書いただけで恥ずかしいんですもん!
    くっ、恋人同士なんて永遠に書けないんじゃないか、私…?
    アンケートの結果は、ご覧の通り、『元に戻る』となりました。
    でも、これがきっかけでぎゅぎゅっと二人の距離は近づいたと思い…ますよ!

    読んでいただき、アンケートにご協力いただき、誠にありがとうございました!!

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    連載終了おつかれさまでした!今後の展開も楽しみにしています。
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