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に、最近ハマってます。いえね、いい名称はないものかとしぶをうろうろしていたら見つけてしまったんですね。【情報屋ファミリー】…!いいじゃないですか。いただきますその名称!むしろ頂きました!!
先日、『臨也さんの本業考察』で考えていた、潜入捜査官?の方を書いてみました。
沙樹ちゃんは全部知って、それで原作通りに動いて、正臣君は原作の時間軸で沙樹ちゃんから言われて知ったことにしときます。
情報屋ファミリーは、協力者と言うことで既に警察の保護下。
情報屋ファミリー
嘘だ。
嘘だ嘘だ嘘だ。
「正臣、早く病院にっ…!」
「あ、あぁ……」
メールに入っていた、新宿にいる女性からのその文面に、正臣は動揺していた。
「正臣!」
「い、今いく…!」
『臨也が撃たれたわ。東京警察病院。救急センターの方に来て』
その文面だけでも、もう混乱したというのに。
『最後の最後で馬鹿をやったわ、今日が峠だそうよ』
全部終わったら、どこかに行こうか。色々と迷惑かけたしね。何処に行きたいか考えといてよ?何処にでも、連れてってあげるから。
そう言った笑顔が、声が、脳裏に焼き付いて離れない。
「すみません、東京警察病院まで!」
タクシーに乗り込んだ二人は、お互いの手を握り締めた。
大丈夫。自分達はまだ、何処に行きたいとも言っていない。願いを一つも叶えてもらっていない。
死んでほしいなんて、そんな願いは言わない。
地獄へ行けとか、あの世へ行けなんて、言ってもいないし言うわけがない。
だから。
「死ぬなよ…!」
あんたが自分の存在を賭けてこの仕事をしてた事くらい知ってる。でも、だからって、簡単にくたばるわけがないと信じてる。
「……大丈夫、だよ、正臣」
「…沙樹」
「臨也さん、臨也さんは、家族をおいてったりしないよ」
『家族』。
あぁ、いつだったか。臨也さんの同僚だという人が、冗談交じりに言っていた。
『お前らは…まるで家族だな。どんなに憎まれ口叩いても、どんな場所にいても、結局は繋がってる。まぁ、世間一般の家族がどうかはわからんが』
一言余計だと思いつつ受け取った言葉に、臨也さんは『じゃあ俺が父親なの?』と返していたのを覚えてる。
家族は、言いすぎかもしれないけど、でも、でも。
「そう、だな……」
あんな人でも、他人以上の関係だとは、思えるくらい大好きなんだ。
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すっと意識が引き上げられる感覚がして、最初に感じ取ったのは自分の心音を表す音だった。
ゆっくりと、ゆっくりと重い瞼をあげると、日の光が、それに照らされた見慣れない天井が目に映る。
あぁそうか。撃たれたんだった…。………………よく生きてたな俺。
「えぇ、私もそう思ったわよ。心臓にはギリギリ当たらなかったようで、奇跡的だって言ってたわ」
「な…み、え……」
口にでも出していたのだろうか。
その声に視線をめぐらすと、そこにいたのは怒ったような雰囲気を醸し出している助手。…こわい。
「……まぁ、貴方みたいな人間がそう簡単には死なないと思ってたけど…。わかる?あれからもう五日は経ってるわ」
「五日…か」
「えぇ、池袋は不気味なまでに静か。そろそろ、何か感づく人間もいるとは思うわよ」
「事情も知ってたお得意様には、先に廃業のお知らせはしていたからね。感づくとしたら、何も知らない奴らさ……家、は、」
「新宿の方は事務所も家も引き払ったわ。言われた住所に運んだけど」
「あり、が、と」
そこまで話して、ようやく臨也は一息ついた。やっと、脳が状況を把握することを始めてくれたようだ。
情報屋、折原臨也としての最後の仕事をしたのが五日前。
まさかあそこで銃の密輸まで発覚するとは思わなかったが、あれは完全に下っ端の暴走だった。まぁ、こちらの上からしてみれば棚から牡丹餅の如く、密輸ルートの一つを潰す手立てが手に入ったわけだ。
そしてもう、自分はあの街に、情報屋として訪れることはない。自分の仕事は、終わったのだ。
「……そういえば、足元の方が異様に重…」
「しっ、あまり大きな声は出さないで。起きるでしょ」
「………」
「その子達、病室に泊まるんだってうるさかったのよ?貴方昨日ICUから出て来たばっかりだったし、不安だったんでしょうね。ホテルに帰りたがらなくて大変だったわ」
「…波江、は、」
「私は、一旦仮眠をとって来たばかりよ。着替えもしてきたかったしね」
「……」
臨也の足元の方、左右どちらにも、その姿はあった。
いつからそこにいたのだろう。気配に違和感を覚えないほど、この病室に馴染んだその二人は、いつの間にか疲れて寝入ったのか、ベッドに突っ伏して眠っていた。
暇つぶしも兼ねて、事件資料も見ていたのだろう。その傍らにはファイルが置かれている。
「…俺、動けないよね」
「それ以前に動かないで頂戴。今、医者を呼んでくるわ」
そう言って静かに出て行った波江にため息をついて、臨也は二人の子供達を見た。
まさか、来ているとは思わなかった。
「……ありがとう」
医者が来るまでは起こさない方がいいだろうと、ゆっくりと臨也もその体をベッドに埋める。
退院ならさっさとできるだろうが、さて、仕事にはいつ戻れるだろう。
あと、休暇が欲しい。これで、この仕事の為に情報屋として過ごした五年間全部有給扱いだから働けとか言われたら、それこそキレて暴れてやる。
そんな、やっと戻ってくるこれからに思いをはせて、臨也は瞼を降ろす。
それが、新宿の情報屋の、終了の合図だった。
あとがき↓
あ、また静ちゃん出すの忘れた…。とにかく、何だか臨也さんに重傷を負わせたい今日この頃。