臨也は、酒に強い。それこそ、何杯呑もうがどれだけ強い度数を呑もうが素面でいられるほどには。
だが。
「んにゃ、しずちゃ……」
今、物凄く、臨也はほにゃりと崩れた顔で、俺の膝の上に乗っている。
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「あ~、臨也酔っちゃったねぇ。顔赤いよ」
「ふぇ?」
それは新羅の一言が原因だったとも思う。疲れていたのか、しかしいつもとは違い寝落ちることなく呑んでいた臨也は、顔を赤くしながらものほほんと呑み続けていた。
清酒を、ロックで。
「そんあことないよ、しんらぁ~?」
「ほら、ひらがなのまま言ってるところがそうじゃないか。いいから寝なさいって」
「やぁ~」
駄々をこねるように首を振った臨也は、大吟醸の入った一升瓶をギュッと抱きしめて離さない。
抱きしめているものが何か知らなければなかなか可愛らしい光景だったかもしれないが、如何せん、そうもいかなかった。
「ほら臨也」
「う~……」
諭すような新羅の言葉に、臨也が渋々一升瓶を離す。が、その仕返しか、手に持っていたコップの中の日本酒を、見事なまでに一気飲みした。
「ちょ、臨也!?」
全員が呆然とする中、コップに並々と注がれたそれを見事に飲み干した臨也は、案の定というべきか、パタリと倒れてしまったのである。
「ったく、いい加減限度っつうもんを知れっつうの…」
「静雄には言われたくないんじゃない?今日はたまたまだけど、いっつもペース乱すのは静雄の方じゃないか」
「うっせぇ」
現在、臨也の頭は静雄の膝に乗っている。あらかじめ準備してあったブランケットをかけられ、くぅくぅと臨也は眠っている。
「ま、門田が来るまでは寝かせておいた方がいいかなぁ」
「だな」
顔にかかった黒髪と桃色の花びらを払い、静雄はいつもの数倍大人しいそれを見る。
………平和だが、つまらない。
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