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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    200000hit、お礼小説。ⅷ-3

    中日というか、休みがあると執筆速度は上がるのでしょうか…?先週のUP率の高さに精進せねばと思いつつ、線中後編の後篇です。
    書いているうちに、短く区切って書いた方がこの話はよいのではないかと思って、こんな感じに三篇別れることとなりました。
    どうせなら、ちゃんとした恋の形の始まりで。




    情報屋+喧嘩人形(+闇医者)



    一コマ目から講義が入っていたので早めに大学に来た臨美は、工事の作業員が多いことに気づいて目を瞬かせた。その話を生物の講義だったので隣席にいた新羅に話すと、大学構内の環境整備らしいという答えが入ってくる。

    「ふぅん…。そっちに金かけるなら、図書館の蔵書増やすか、四号館の改修工事してほしいなぁ」
    「僕のところの五号館も結構古いしね。まぁ、上が考えていることなんて、僕らにはわからないさ」

    講義が終われば、医学部の新羅は実習が入っている。着慣れているのとは違う、学生として買った真新しい白衣を手に、意気揚々と解剖の授業に向かう友人の後ろ姿は周囲の医学部生とは一線を画していた。聞けば、学部でも結構浮いているらしい。初めての解剖の授業で顔をしかめる周囲とは逆に、イキイキとメスを手にしていたのだからまぁ、当たり前だろう。
    対する臨美は理工学部の人間である。しばらく新羅と会う講義はないなとスケジュールを確かめて、昼を買いに行こうと足を購買の方へ向けた。





    ********************






    仕事できた大学は、同じ年頃の奴らが通っているはずだろうに随分と違う世界の人間に見えた。男も女も、どこか輝いて、見える。そんな話を先輩にしたら、それは働いてるか学生かの違いだと笑われた。

    「そういうもんすかねぇ」
    「そーゆーもんだ。成人式とか出会うと、まだまだ学生だったり結婚してガキまでいるやつもいる。もっと歳食えばそんな差が少なくなるんだろうが、お前らくらいだと働いてるか学生かって身分でかなり違く見えるらしいぞ」

    これは大学に行ったやつが言ってたことなんだけどな。といった先輩は、昼飯だからと弁当片手に木陰まで歩いて行った。昼休憩はあと30分ほど。静雄は缶コーヒーを買って、大学構内全面禁煙だというから、仕方なく校門から出て煙草を吸おうと手近な外への道を探す。
    その時、ふとどこかで見覚えのあるような顔を見たと思ったが、一瞬でわからなかった。
    追おうとしたが、少し歩いてその足は止まった。思わず見開いた視線の先には、先日池袋で見た、女。
    そして、どこか覚えのある感覚と、初めて見る感覚がない交ぜになる。

    「………あ……?」

    女は、こちらを振り向くことなく青葉生い茂る並木道の向こうへ歩いていく。

    違う、いつも、いつもあいつは、俺を見て愉しげに笑うんだ。

    長い黒髪をなびかせて、周囲の男がそれを見ていた。

    違う、いつもあいつを見てるのは女の方だった。

    メールが来たのだろう、携帯を開いて、どこか嬉しそうに笑っている。

    違う、携帯を見て、浮かべるのは嘲笑のような顔だった。何かを企んでいるような――――――――――

    「っ!!」

    そこまで考えて、やっと静雄は、目の前のどこかへと歩く女と、記憶の中の『彼』の姿が重なるのを見て、走り出した。










    ********************










    こちらを見ている男が、誰なのかは知っていた。
    いつ喧嘩を仕掛けてこられるだろうかと、そうなってはもう大学にいる事は叶わないだろうかと考えながらも歩けば、後ろから追う気配はない。不思議に思いながらも、臨美はその足をこの時間人気がない、建物の間の林へと向かう。
    すると、それがわかったのか否か、金色の気配はこちらへと向かってきていた。

    振り向けば、あの頃よりも少しだけ背が伸びて、そして、工事現場の人間らしく汚れたつなぎを着こみ、タオルを巻いた姿が見える。

    「…手前、」
    「………こんにちは」

    池袋の街。
    どんなに歩いて騒いでいても、門田もセルティもサイモンも、自分が折原臨也だとは気付かなかった。まぁ、気づかれても困るのだが。
    そんな中で、彼は今、確信を持った目で、自分を見ている。

    「……臨也、か。いや、臨也だな。手前みてぇな胸糞わりぃ気配した奴はそうそういねぇ」
    「…ははっ。ひっどいなぁ。あぁ、ほんとは臨美ね。一文字変えただけなんだけどさ」
    「女、だったのか」
    「そうだよ。プールの授業もしなかったし、君との喧嘩でプールに逃げたこともなかったでしょ。気づかなかった?」
    「…普通はきづかねぇよ」

    それもそうだね。と話すうちに、その距離は少しずつ小さくなった。

    「それにしても、なんでわかったのさ。ドタチンだって、セルティだって、池袋であったやつは皆、わからなかったのに」
    「あ?」
    「これでも池袋には実家があるんでね、よく街中も歩くけど、誰もわからなかったんだよ?」

    いつの間にか手を伸ばせば届きそうな距離に来て、臨美は少しだけ寂しげに、笑った。

    「ほんっと…なぁんで君だけ、気づくかなぁ…」
    「そりゃお前…俺が手前の事、好きだからじゃねぇか?」

    「……え、」

    次の瞬間臨美の視界はぶれて、いつの間にか汗と土のにおいがする腕の中にいた。

    「…え、え?」
    「三年も喧嘩して、卒業した後ずっと働いてたからよ。ふと思い出した時に、わかったんだよな…。わかったのは昨日だけどよ」
    「…」
    「お前、池袋にいただろ。あの時はお前だってわかんなかったけど、お前と一緒にいた男がお前の手ぇ握ったの見て、なんか…殴りてぇって、思ったんだよ」
    「私の貴重な友人を殺さないでくれないかな」

    少しずつ強くなる腕の力は、しかし昔と違って、どこか加減を知っている力。あぁ、彼はもう『喧嘩人形』なだけではないのだと、そう思った。

    「それで、いろいろ考えて、思ったんだよ…。俺は、手前が好きだったんだ。ってな」
    「……そう」

    臨美は、何も返さない。ただ、つなぎの、回された腕の部分を少しだけ、つまんだ。

    「……君は、さ」
    「おぅ」

    少しだけ押されてお互いの顔が見えた。

    「君は、どんな私でも、いいの?」

    その言葉には、一つではない意味があるように思えた。多くの意味があって、多くのことがあって、そして、多くの感情が込められている気がした。
    でも、静雄は深く考えることを好まない。きっと、臨美も望んでいないだろう。
    だから、静雄は問われたままに、応えたい言葉を、答える。



    「俺は………どんな姿だって、俺は手前を見つけてみせる」



    見つけてやる。
    そう繰り返された言葉に、臨美はただそう。と返して、嬉しげに笑って答えただけだった。





    あとがき↓
    前中後編の後篇です。あんまり両想い的な描写がなかったですね、すみません…。きっと、この後お気に入りの服を汚されて臨美さんはキレてナイフ繰り出して帰宅すると思います。そして、追いかけようにも先輩に呼び止められて静雄さん強制労働。
    次の休みあたりに新羅が知ってた、しかも同じ大学と聞かされて合わされて、一悶着あるかと思います。


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