最後です!長かった…ようで短かった…!この間は春コミありましたねー。皆さんの中で行かれた方はいらっしゃるでしょうか。デュラララ関連はすぐに売り切れたと聞いてます。自分は書店通販なので、早く来いと出版社に念…いえいえ、祈りを送っております。
さて、それでは最後。どうしようかな~と思いまして、VSにしてみました。
誰と誰がって?
喧嘩人形VS助手
「あなた、本当に何も知らないのね」
その日、静雄は一人の女性に出会った。
美人の部類に属するその女性は、臨也に逃げられて標識片手にイラついている静雄に臆することなくそう言い放ったのだ。
「…どういう意味だ」
「あら、そのままの意味よ。何も知らないのね。あの子のこと」
「あの子ぉ?」
「今、貴方が取り逃がした情報屋のことよ」
『情報屋』。それに当てはまるのは、たった一人。そして、静雄が『取り逃がした』のも、たった一人だ。
折原臨也。
「俺は不本意なことに、あいつとは高校時代からの付き合いだが?抹消しちまいたい過去だけどよ」
「あら、貴方がその過去を抹消するなら、今の貴方に残るものはとても少ないわね」
「んだと…?」
「臨也がいなかったら、臨也が起こさなかったら、糸を引かなかったら、結べなかった縁は多くあると思うけど?まぁ、それをどう思うかも貴方次第ね」
その女性は、殺気を放つ静雄にさえ怯えの一つも見せなかった。気高く、そこに立っていた。
臨也の関係者でなかったら、静雄はもっと好意的に見ることができただろうとおもうような、そんな女だった。
女性は、その手の包みを大事そうに抱えなおしながらも、嬉しそうに笑った。
「貴方は知らないでしょうけど、臨也は結構料理上手よ。まぁ、あの双子を半分育てたようなもんだから、家事なんてお手の物なんでしょうけど。あぁあと、静かにしているのが好きね。音楽聞いたり読書したり。おかげで私も本なんか借りてるけれど、あれはある意味乱読だわ。ジャンルに一貫性がないもの」
そう言って語るそれが、静雄には『折原臨也』とは結び付かなかった。
静雄が知っている臨也は、ウザくて、屁理屈で、人の神経を逆なでるのがとにかく上手い。
思いつくのは、これだけ。そう、それだけだ。
女が言う妹達への優しさなんて知らないし、料理や家事など結びもつかない。
別に、知らなくてもよい、ことだ。
その、はずだ。
「…手前、臨也のなんだ?」
「私?彼の…そうね。助手兼、秘書ってところかしら。あと…は、まぁいいわ。別にあなたには関係のないところだしね」
「んだと…?」
「そうでしょ?貴方は彼を殺したいだけなんだし、私のことなんかどうでもいいんじゃないかしら」
「…」
女性は、にこやかに笑う。臨也とは違う、しかし同質の何かを背負って。
静雄に分かったのは、この女もどこか狂っているんだという、それだけ。
「貴方がいつまでたっても進まないのなら、私が貰うわよ?」
その言葉の意味さえ、解らなかった。
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「あ~、波江お帰り~。今お茶入れようとしてたんだけど、飲む~?」
「ただいま…。えぇ、もらうわ」
波江が新宿の事務所に戻ると、臨也がコーヒーメーカー片手に出迎える。
「結構遅かったね。君の方が早いと思ってたんだけど」
「えぇ、池袋の喧嘩人形さんにあってね。ちょっと御挨拶してきたわ」
「……え」
固まった臨也からマグカップを受け取って、別に何もされなかったわよ。と返すと、あからさまに臨也はほっとした。
いくら女性であろうと、自分の関係者と知れば静雄が何するか分からないと考えたからだ。
「てか、池袋まで行ってきたの?」
「貴方に頼まれたものがなかったのよ。それでね」
「ふ~ん?まぁいいか。ありがと」
そういうと、波江が買ってきたものを取り出して、臨也は自室への扉を開ける。
「あら、休憩しないの?」
「運んでおくだけー。ね、休憩ついでに久しぶりにゲームしようよ」
「貴方苦手じゃない。初心者の私にも負けたくせに」
「きょ、今日のは格闘ゲームじゃないよ!」
「はいはい」
さて、喧嘩人形はどう思っただろう。
別に気づかなくても気づいてもいい。どうせなら、全部終わった後で気づいてくれればいい。
「……私は、貴方の知らない『折原臨也』を、知っているわ」
情報屋の折原臨也も、情報屋ではない折原臨也も。
あとがき↓
VSというよりは、一方的な口撃だったかなー…。初対面にしたから静ちゃんは波江さんの情報少ないし。
でもまぁ、楽しかったです!うん、凄く。
ちなみにこれ、『おそらくそれは、』と繋げようか迷ってます。
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