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デュラララ!!の二次創作小説同人サイトです。
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    200000hitお礼小説、ⅵ-2

    こんばんは、房藤です。書き溜めていた部分を大放出。長いです。後でどこか分割するか、修正するかもしれません。
    一番書きたいなぁと、このパロで思っていたところの一つをようやく書けました。
    ここから、江戸で拾ってもらって、万事屋が始まってったんだ。と表現したかったです…。キャラが迷子で申し訳ない。





    万事屋オーナー + 会社社長 + 歌舞伎役者 + 四天王一角





    あぁ、囲まれているなぁ。と、まるで吐息を吐くかのように自然な声で、目の前の義弟はそういった。

    「おい…こんな洞窟に逃げ込んで大丈夫なのかよ…っ!」
    「ヘーキですよ。入り口近くは死体だらけだし、でかい声出さなきゃ臭いも辿れないから見つからない」

    そう言って、暗闇の中をひょいひょいとこちらへやってくる。
    他の仲間を逃がすために囮になって、二人。悪運は強いことは証明済みだが、ここが見つかればそれもここまでである。

    ふぅ、と息を漏らすと、これに着替えてください。と、薄い蒼で染められた布が差し出された。どこから出したのか帯まである。

    「ここ、よく使ってたんです。饅頭はないですけど、金平糖ならありましたよ」

    はい。と、帯の上に置かれた小さな紙の袋は、触れば確かに金平糖の粒の感触がした。
    この時、何故あんなにも頭が回らなかったのだろうと、そう思う。

    「近くの村…いや、隠れ蓑としては江戸がいいなぁ…長州も薩摩も、こっからじゃちぃと遠い」
    「口調…崩れてんぞ」
    「ははっ、こりゃすまんきに…と!あったあった。暗器に、糸に~」
    「ここは武器庫か」

    小声ながらも何とか笑える会話に、少しだけ胸が軽くなる。
    後これ!と差し出してきたのは、少々白い水だった。

    「?」
    「砂糖水。糖尿寸前の貴方に飲ませるのは嫌だけど、それで動けないって駄々こねられちゃたまんないからね。ほら、俺って優しいから」
    「抜かせ」

    しかしありがたい。金平糖の前に、とその水を飲めば、胃に優しくするためだろう。とろみがついているのが分かった。

    「んじゃ、明日には頑張って江戸に行けるように、色々と整えておきますね。寝過ごしたりしないで下さいよ。あと、その金平糖一気に食べて後々腹減らさないように!それに、一応金を裏布に縫い付けてあるけど、浪費したりしないようにね。あとは…」
    「わーったわーった。少し寝かせろ」
    「……うん、お休み」

    …何故、あの時、一人でさっさと寝てしまったんだろう。


    「…ふぁ………。結構寝れたな。今何時だ、臨…………」

    自分が来ていた白の陣羽織も、額当ても、鎧も、刀も、何もなかった。
    代わりに、自分が来ているのは昨日着替えろと差し出された、薄い蒼の着物と、黒い帯。近くには昨日は一つだった金平糖の袋が三つになって。
    何かに違和感を感じて割られていた鏡台の鏡をのぞきこめば、自分の髪は、綺麗なまでに黒に染められていた。



    「臨也…!?」





    それが意味するところなんて、たった一つしか知らなかった。










    ********************










    懐かしい、本当に懐かしい顔を見つけて朗らかに笑った臨也は、抱え込んだ花束を抱えなおした。流石に重い。
    ついでに、何だか変だなぁと思って、その懐かしい顔を見る。笑顔で久しぶりだなと言われると思ったのに、固まったままとはどういうことか。

    「臨…也……?」
    「?はい。そうですよ?」

    俺が偽物にでも見えますか~?

    そう言って笑う青年に、あぁこの何とも言いようのないウザさは臨也だなと確信する。
    本当に、

    本当、に、

    「…?義兄さん?」

    俯いてしまった銀時を訝しんで、臨也がひょいひょいと軽い足取りで近寄り、顔を覗き込む。一体どうしたのだろう?
    辰馬もそれが不思議なのだろう。どうした?と臨也と共に銀時の顔を覗き込んでいる。

    「金時?銀時~?」
    「銀義兄さん?」

    甘味不足だろうか。二人がそう考えた瞬間、耳元でかつて戦場で聞いたような大声が響いた。

    「っの……馬鹿野郎が!!!」

    「っ…!!」
    「なんじゃなんじゃあ!?金時、いきなりそんな…」
    「手前、俺がどんだけ心配したと思ってやがる!朝起きたら俺の荷物全部持って、代わりに金平糖と金と護身用の暗器おいて消えやがって!」
    「え、いやぁ、それは…」

    あまりにもめったに見ない剣幕に、周囲の人も、辰馬も、臨也も後ずさる。

    「で、でもほら、ちゃんと無事に江戸につけたんでしょ?なら良かっ…」
    「ふざけんなよ!」

    ちょっと落ち着け。という言葉が聞こえるが、銀時にとってこの騒ぎでどう見られようとも気にすることはないものだった。目の前の馬鹿野郎を説教する方が大事だと、自分の優先順位は決まっていた。

    「俺が無事だったからって、手前、俺のあん時の気持ちがわかんのか!?朝起きたら誰もいねぇ、水でも汲みに行ったかと思ったがそんな気配はねぇし、どんだけ待っても帰ってこねぇ!俺の荷物もねぇし、髪は無難な色に染めてやがる!」
    「いやぁ、戦時下で江戸目指してたから、その色じゃ悪目立ちすると思ってさぁ…」
    「だろうなぁ。で、手前はその『悪目立ち』する頭で何してやがったぁ?」

    あ、バレテル。と思ったのは一瞬だった。まぁ、陣羽織はない、額当てもない。一般人の旅装に見せかける荷物だけおいて消えたら、誰だってそう思うだろうとは予想していたことだ。

    「さてね。俺が秘密主義だってのは知ってるでしょ」
    「臨也!」
    「あー、もう。ほら、ここじゃ目立つんだから!饅頭あるし、ちょっとどっか行こう!」
    「おい、お前な!」
    「はいはい、行くよー」

    あぁもうめんどくさい。そうため息をつきながら、辰馬と目配せして銀時の背を押す。



    花がしおれたら、義兄さんのせいだ!!





    **********





    甘味屋でおごらせる。と、小型宇宙船で突っ込んできた友人を連れて出かけたはずの二回の居候が、一時間ともせずに戻ってきた。財布でも忘れたのかと思って店の戸口を見れば、銀時は何やら怒っているような、拗ねているような顔をしている。対して、楽しそうに笑っているのは辰馬で、苦笑しているのは…。ん?

    「銀時、その子は?」
    「おとーと」
    「臨也、この二階が銀時の家じゃき!」
    「なんか刺さってましたけど?」
    「あー、あれは儂の宇宙船じゃ!」

    銀時に弟。初めて聞いたことだが、その瞳の揃いの紅に納得する。

    「こんにちは、いきなりお邪魔してすみません。往来で怒るものですから」
    「おや、何したんだい」
    「ちょっと、喧嘩別れをしていたもので」
    「お前が勝手に姿消すからいけないんだろうが!」

    銀時の、どこか拗ねたような怒りに、黒髪の青年は苦笑してはいはい。と繰り返すだけだった。どこか慣れたその仕草に、あぁ本当に近しい人間なんだなと納得する。

    「名乗りが遅れて申し訳ない、俺は臨也と言います。今回は仕事で江戸に参りまして、今度の江戸の祭りの頃まで滞在しています」
    「おや、ご丁寧にありがとね。銀時の弟とは思えないよ。仕事って?」
    「歌舞伎座なんです。将軍様が見たいとおっしゃったとかで、他の興行を切ってこちらに」
    「おや、そりゃ大変だ。大丈夫なのかい」
    「はは。その辺りは諦めていますから」
    「ところで、銀時はなんであんなに怒ってんだい。喧嘩別れしたって言ったって、あそこまで怒る奴じゃあないだろ」

    そう言って奥の席をさせば、臨也が勝った饅頭をやけ食いのように食べている銀時の姿。隣の辰馬も、何があったのかと少々戸惑っている。

    「……別れたのは戦時下で、戦場近くの、洞窟の中だったんです」

    青年は、戦に出ていた。とは言わなかった。しかし、その瞳が、そして仕草が、あの場にいたのだということをどこか物語る。

    「俺と銀義兄さんは、江戸を目指してまして…。まぁ、ことあるごとに喧嘩っ早くなろうとするものですから、俺の機転がないとどの辺で死んでいたんだか…」
    「おいこら」
    「ははははは。まぁ、そんなこんなで戦場を避けつつ江戸を目指していたら、人間は見境なく、という天人の戦闘集団と当たってしまいまして。洞窟でやり過ごそうと思ったんですよ」

    ですがそうもいかなくて、と言葉を続けようとしたが、その言葉は銀時によってさえぎられた。

    「ん、で、お前はご丁寧にどっかに持ってた染粉で俺の髪黒にして手前の髪白くして、ついでに俺が着てた服を着て、俺には別の服着せて、囮になってホイホイ外でたんだよなぁ?」
    「はは、よくわかってるじゃん」
    「……」
    「二人で逃げたって、非効率的でしょ。お互い、もしくはどちらか一方でも江戸にたどり着けるならそれが一番だった。俺は貴方ほど強くはないけど、足の速さは貴方より上で、逃げ足にも、間を縫って切り抜けることにも自信がある。当たり前でしょ」
    「…そうだな。外に出たら、周りは誰もいなかった」

    あの時の寂寥感は、どうしても拭えまい。

    たった一人戦場にいたあの時は、まるで幼い頃に戻ったかのようにさえ感じたのだ。しかし、それを現実に戻したのは、金平糖と、暗器。刀ではないその武器は、臨也が自分のためにおいて行ったのだと分かる、一人で洞窟の中にいたわけではないという、証だった。

    「………しんぱい、した……」
    「・・・・・・」
    「いきてて、よかった…」

    年甲斐もなくすがるように抱きしめれば、幼い頃のように、年齢が逆転したかのようにポンポンと背を叩かれる。
    大丈夫ですよ。というその声は、どこか義父と仰いだこともある師に似ていて。



    あぁ零したと思っていた大事なものは、手の中にまだあるのだと。



    そう、思った。





    あとがき↓
    二連投、クロスパロでお送りしました。冒頭部分が、一番書きたかったところです。


     

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