こんにちは、休みを一日勘違いして、どうやら休みが伸びたようですひゃっほう中の房藤です。なにやら支部の方で凄いことになっていて頭がパンク寸前です。ついでに知り合いに『全部混ぜりゃいいじゃん』と言われました。私を殺す気か…OTL
本とかDVDとか買いたいのですが、今から買い足したら家のものがどれだけ多くなるのかと頭悩ませ中。特に薄い本をいかにしまうかで悩み中。二月で秋田におさらばです。実家にいる間は通販中止しますね。
そうでした。通販を今月中旬までと区切っているのは、卒論発表などが二月の初めにあり、その準備に追われるだろうということでです。一応、発表が終わったら再開しようかなと思います。今できているのだけで、短編再録だしたい…200P行きそうなのですがどうですか。
さて、芸能パロは本当に久しぶりで、ちょっとどんな話だったかなと思いだしながら書きました。一応、終了?なのかな。このシリーズで静ちゃんを書くことがこんなに難しいと思わなかったので、静ちゃん視点はボツにしました…。だって、喧嘩腰一辺倒になるんだもん…(T_T)
情報屋だった歌姫
いつも、編集中のカメラや、ライブや、もしくはウオークマンで聞いていた音が、何気なく歩いている日常の街で、街頭から流れてくる。
そんな未だ慣れない不思議な光景と入ってくる音達に苦笑しながらも、臨美は街を歩いていた。
新宿の住まいを離れ、本当の一家四人生活が始まり、忙しいながらも生活は充実している。
二週間に一度は池袋を訪れ、新羅やセルティとお茶をするのも相変わらずの日常だ。まぁ、情報屋の方も、細々とやってはいるのだが。
「ママ、お兄ちゃん達本当に三時の新幹線なの?」
「そう。だから迎えに来たんでしょう?」
門田は未だにぎこちないが、狩沢などはテンション高く接してくれる。おかげで池袋の街にいると素性がばれるのだが、それ以前に『折原臨也』だったことが聞いているのだろう。ちょっかいを出してくる阿呆はいなかった。
「母さん、すずが退屈であばれ出す前になんとかしないと」
「ふふ、そんなこともあろうかと、駅地下のカフェで待ってるってメールしておいたんだ。お茶飲みながら待とうか」
「やったーっ!!」
親は無くとも子は育つというが、二、三年直に会えない間に子供達は随分と大きくなった。別れる前に柱に書いた身長の線は楽々と追い越され、真一と二人、感慨深くなったことを思い出す。
「何か食べる?」
「ココアとね、カップケーキ!」
「抹茶ラテ飲んでみたいです。あとキッシュ」
「いいよ。じゃあ、それらをショートで、あと、グランデでコーヒーお願いします」
「かしこまりました」
子供たちが我先にとソファにそろって座り、その向かいに腰を下ろす。性格が正反対だというのに、こういう時の行動が一緒なのは双子だからなのだろうかと、カップケーキとキッシュをお互いに分けている子供達を見る。
「ママ、お仕事は明日から?」
「うん?あぁ、今回はね、仕事は来週からなんだ。その前にちょっと打ち合わせとかもあってね。明日からしばらく、家が賑やかになるね」
「他の…一兄さんたちは?」
「高校生組も来るよ。会いたいって騒いでいたからね」
会うといえば、一度だけ、門田から静雄には会わないのか。と聞かれたことがあった。しかし、会って何があるかわからない。公衆の面前で喧嘩を始めればどちらも以前のようにはいかないだろうし、それ以前に自分が女だと知って、どう出るかもわからない。それ以前に、自分が女だということ、今、テレビやネットで騒がれていることなどを、彼は信用しているのだろうか。案外、折原臨也の双子の姉とか妹とか、そっくりさんとか思っているのではないだろうか。とまで考えて、先日彼の上司に遭遇したことを思い出した。彼の認識から言って、あの平和島静雄が斜め上に現実逃避してはいないだろう。
まぁ、会いたくない理由は他にもあるのだが。
「あ、母さん来たよ」
「おや、随分と早いなぁ…。早く食べようか」
以前会ったというこの双子を見て、彼は何も感じなかったのだろうか。何も感じないのならば、うん。それで別にいいのだが…。
「リーンさーん!お久です!」
「うん。それじゃあ行こうか?」
「ちび共久しぶりーっ!」
「肩車して!あと飛行機!」
「すず、飛行機は危ないから」
********************
高校生の時、初めて見た圧倒的なその力に、憧れた。それはいつの間にか『恋』になったけれど、自分は隠していたものをさらけ出す勇気もなく、始めてしまった道化の役を降りることもできず、歪なプライドを持って、三年間を過ごした。
過ちを犯したのは、その終わりも近い頃。
今考えればなぜあんなことになったのだろうと、そう思うしかない池袋の路地裏。あの時は確か、校則違反をしていた後輩のものをかっぱらってお互い飲んでしまった…んだと思う。もうその頃の記憶もおぼろげだ。
忘れていられたら幸せだったのに、突然の体の変化の原因に思い当たってしまった自分が恨めしかった。
まだ新羅の家に行く前、自室でまさかと考えながら、一度は命を絶つことだって考えたのだ。道化と、己が混ざり合って分からなくなった瞬間だった。
それを阻止したのは妹達で、すぐに以上に気づいて真一を呼び、病院にと騒ぐ二人を宥めて新羅のところへ連れて行ってくれた。
「臨美、産んで」
産むべきなのかと迷う自分に、茶化すようないつもの雰囲気はなく、そこにあったのは真剣なだけの顔と言葉。
「でも、」
「産んで。そして―――――」
あの後の綴られた言葉は、まぁ一応、プロポーズということになるのだろう。どういう言葉なのかと子供達からもよく聞かれるが、これは流石に言えない。うん恥ずかしい。二人だけにしてほしいと言っていたので、この言葉を知っているのは二人だけだ。この二人が結婚するくらいになったら言ってもいいかな。とは思う。
あの時小さな恋を知って、相手に知られず、告げぬままそれは終わった。否、今も終わってはいないのかもしれない。小さな小さなつながりは、たとえ本人が知らなくともここにある。
しかし、同時に自分は愛を得た。
人間への愛でも、友への愛でも、芸術への愛でもない。たった一人に向けられる愛を得た。
その愛を二人で綴り続けて、今もまた、ここにいる。
「そうそう、俺と臨美から、ちょっとお前らに重大発表があります」
「う?」
「ふぁだ…。まだ飯食ってるんですが」
「まーまー。臨美、ほれ」
「う~……で、では、ツアーも一区切りついたので、報告、させていただきますっ!」
いつか、またあの『恋』と、ちゃんと向き合えたらいい―――――
うた
そう思いながら、私は今日も、愛を歌う。
「実は、静也と美鈴に…」
歓声に包まれて再び乾杯の声が聞こえるまで、あと数十秒。
あとがき↓
ふふふ、久しぶりに書くとやっぱ、難しいですね。房藤です。一応、これで完結。この後はネタが出てきたら書きたいな。ぐらいです。もともと九十臨を書いてみたくて始めた連載でもあるのですが、ちょっと広がりすぎたので、ここで閉めたいと思います。この後、映画で幽くんと共演したり、静ちゃんが色々知ったりすると思います。
あえて濁した台詞は、きっとここで自分が書くよりも、皆さんが想像する言葉をそれぞれで考えていただければと思いました。後者はバレバレかなと思いつつ濁しました。
最後に、今回のタイトルは、現在の臨美さんから、高校三年間の『折原臨也』へでした。
続編のリクエストありがとうございました!ご期待に添えていれば嬉しいです…!
PR