今更ですが、明日で20日…。一月が短いか長いかって、本当に難しいです。昨日まで学校でテスト頑張ってた気もすれば、オフ書いてた気もするし、部活の大会でわたわたしてた気もする…。
さて、インテが近いので、オフの番外をちょこっと書こうかな。と。メインは赤眼組。この人達は多分、似ていると思うんだ。
あと、暑い気分を紛らわせるために、季節冬です。人名で書いてます。
元情報屋+東西
それは、とある日のクリスマスイブのことだった。フェリシアーノ達からイブのパーティーに呼ばれていたルートヴィッヒが出かける準備をしていると、今起きたのだろう。兄であるギルベルトが、頭の上でまだまどろんでいる小鳥と共に二階から降りてきた。
「あぁ、ヴェスト。Guter Morgen」
「Guter Morgen。兄さん」
「あぁ、今日か。クリスマスのパーティー」
スーツではないがそれなりにフォーマルな見た目の服を着たルートヴィッヒに、ふんわりとギルベルトが笑う。
「兄さんは、いいのか?クリスマスだというのに」
「俺は、クリスマスは静かにって決めてんだ。フランシスとかもいるだろうからどうせ最後にはバカ騒ぎになるだろうからな。ま、胃と頭を痛めない程度に楽しんでこいよ」
「あぁ…」
ニコニコと笑いながら自分を見送るギルベルトと小鳥、そして犬達に、本当にいいのだろうかと思いつつ、ルートヴィッヒは家を出る。
毎年のことだが、いつもは構えだの何だのとうるさい癖に、クリスマスなどは不気味なほどに、あの兄は静かだ。それをまわりの国達はあまり知らないだろう。何せ、他に人が現れると通常に戻る。朝に会う自分だけが知っているあの姿は、静かすぎて逆に不安になるほどだ。いつも不遜にしている方が、安心するというのに。
明日のクリスマスは、ホットケーキでも焼こう。もちろん、三段で。そう思って駅に入った時、前方から走ってきた人物に、ルートヴィッヒはぶつかってしまった。
うっすらと雪が積もり濡れて滑りやすくなっている地面。相手が体勢を崩すのを見て腕を伸ばそうとしたルートヴィッヒだったが、その腕は届かず、そしてその顔は驚愕に変わる。
「っと…ふぅ。大丈夫ですか?」
「あ、あぁ…」
なんと、その…恐らく少年、だろう人物は、崩した体勢から器用にクルリと、一回転して着地したのだ。しかも、地面に手は付かず。少しだけ足をついた時に滑ったようだが、事も無げに立ち上がる姿から、怪我をしているようには見受けられなかった。
少年は急いでいるようで、急いでるのですみません、と頭を下げ、街中へと走り出す。その背を少し見送ろうとしていると、ふと、足元にキーホルダーが落ちているのを見つけ、彼のものか。と、ルートヴィッヒは声を張り上げた。
「これ!落としましたよ!!」
「?」
青年が振り返ったところで、恐らく投げてしまった方が早いだろうと、軽く足踏みしている彼に向って投げる。少し力強く投げすぎたか、と思ったそれは、高く飛んだ少年によって見事に受け取られた。
…どういう身体能力をしているのだろう。
少年は危なげなく着地して、それを見ていた周囲の人達からの拍手を受けながらも、ルートヴィッヒに大きく手を振った。
「Merci!!」
と。フランス語で。
それに目を瞬かせている間に、その少年の姿は見えなくなった。
「何だったんだ…」
そう思いつつ、列車の時間に遅れると、慌てて駅の中へ入る。そして、そう言えば、と思いだすのは、先程投げて渡したキーホルダー。
「あれは…黒鷲の……」
それは、兄であるギルベルトが掲げた、黒鷲の国旗のキーホルダーだった。
********************
暖炉の火がパチパチとはぜるリビングでゆったりとしていたギルベルトは、ふと、犬達がむくりと起き出したのと、玄関先に気配を感じて新聞を畳んだ。
まさか、ルッツの奴忘れ物でもしたんだろうか。
そう思ってドアを開ければ、そこにいたのは、予想していた人物より随分と小柄で、細い人物。その頭には、降り出した雪が僅かに積もっていた。慌てて、それを手でとってやる。
「イザヤ…どうした?お前…」
「………か……た、助けて、ください…!!」
「……………は?」
**********
暖かいココアを入れられ、暖炉の前で毛布の上から犬達と小鳥によってもふもふと暖められてホッと一息ついた臨也は、クリスマスイブに、わざわざフランスからやってきた訳を話した。
「実は…先生に、パーティーに行かないかって、誘われたんですよ。何でも知り合いのところであるパーティーで、無礼講なんだって」
「あぁ、それなら、多分俺の弟もさっき行ったな。明日のはアメリカで。今日は近くの奴らで…イタリアじゃなかったか?」
「そうらしいですね…。で、先生のいう『無礼講』ほど、今俺がこの欧州で怖いものはないので…」
「逃げてきた、と」
「はい…」
実際、フランスを出るまでずっと追いかけっこでした…。と力なくうなだれている臨也に、ブラッキーが慰めるようにすり寄る。それに習うように、他の二匹も暖めるようにすり寄った。
「ケセセセセ、うちの犬達は優しいだろ~」
「っ……!!可愛い…!!」
癒される…!
ぎゅうぎゅうと犬を抱きしめて、犬に懐かれている臨也の姿は、やはり年相応に見えるな。とギルベルトは頷いた。今年知り合ったばかりだが、どうにも実年齢より大人びて見えていたので、こういう光景は、和む。
「さて、どうする?イザヤ。ドイツ観光でもすっか?」
「え?あ、あれ、そういえば…何でギルベルトさんはパーティー行かなかったんですか?ここまで来てなんですけど」
「ん?まぁ、半分はお前と同じだな。ちょうど買い物に行くんだけどよ。手伝ってくんねぇ?ついでにこいつら散歩に連れてくし」
そう言えば、散歩という言葉に反応したのだろう。三匹の犬が、何やら期待を込めたまなざしで臨也を見た。
小鳥は、いつの間にか定位置のギルベルトの頭に収まっている。
キラキラキラ。
……。
キラキラキラ。
………。
キラキラキラ。
…………。
「お、お供させていただきます…」
「よしっ!」
今着替えてくるぜ~とパタパタと上がって行くギルベルトに、気を使わせたかな。と思いつつ、臨也はもふっと犬の毛並みに顔をうずめた。
日本では動物なんて飼っていなかったから、暖かい温度がそばにあるというのがこうもいいものなのかと、少し、自分より早い鼓動に安心する。
「よし、コートを着て行くぞイザヤ!」
「って、早?!」
「ちなみに、散歩がてら前に案内できなかったところも案内すっからな。あ、夕飯食ってけ。俺様しか今日はいねぇし!」
「へ、え、は?」
テキパキと暖炉の火を消し、犬達にリードをつけ、戸締りを確認しながらの言葉に、上着を着ながらも臨也はついていけない。
「あぁ~・・じゃあ、夕飯作りは俺も手伝います」
「おぅっ!」
とりあえず、言えたのはそれだけだった。何とか落ち着いたのは、玄関先まで行った時であった。
「よし、それじゃ行くか。案内する場所は、着くまでのお楽しみだからな。何も聞かずに俺様についてこい!」
答えはJaしか認めねぇ!!
そう高らかに言ったギルベルトに、臨也は笑って敬礼した。
「Ja!!」
あとがき↓
あ、すみません。続い…た・……。
PR