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あれ、前にも…?と思った方もいらっしゃるかと思いますが、先日のは部活の新歓、今日のは大学の学科の新歓です!でも、片づけ抜けて部活行きます!だって、先輩来るんだもん!!
卒業した方なのですが、仕事がお休みらしく、わざわざ仙台から来てくださるそうで…。嬉しいです!
というわけで、今のうちに更新更新。最近、本業パロとか和パロしか書いてないなぁ…。と思ったので、久しぶりに料理シリーズです。
ただし、中学時代。話しの都合上、名前だけでオリキャラいます。
闇医者+情報屋(まだ卵)
多分、それは相手にとっては、奇奇怪怪な出来事であったのだと思う。
今の私にとっても、何故あそこで声をかけたのだろうかと、ふと不思議に思う事がある。
それは、もう五月も半分まで行った、中学で初めての、梅雨前の事。
**********
その日僕は、通学路から外れて、気分転換に違う道を歩こうと、いつもは行かない住宅街を歩いていた時だった。
「それじゃあ、おじさん、また」
「あぁ、いつもありがとな臨也君。これ、おまけのチョコレート」
自分と同い年くらいの少年と、恰幅の良い男性が、店先で楽しそうに会話をしていた。
少年の方は自分でもあまりお目にかかった事がないと思うくらいの美少年で、一瞬、少女ではないかと思ったほど。
後に、その考えはすっぱりと切り捨てられたのだが、まぁ、この時は僕も純粋無垢であったということだろう。
それは置いておいて。僕は、その人物の顔に見覚えがあった。
四月の、中学の入学式。
自分の前に座っていた少年で、そして、その日以来一度も登校していない、前の席の少年。
「折原…君?」
「……?」
小さく呟いたと思っていた言葉は、存外大きかったようだ。その少年―――――そう、臨也には十分に届いたようでね。こちらを見て首を傾げられたよ。
「おや、臨也君、知り合いかい?あぁ、同じ中学の制服だね」
「あ~…あぁ。同じクラスの出席番号6番の…岸谷、新羅?だっけ」
「………入学式以来会ってないのに、よく覚えているね」
「同級生の名前と顔は、一通り覚えたから…。君こそ、よく俺のこと知ってるね」
その時の臨也は、まだそんなにひねくれてなくてさ…。セルティには敵わないけど、まぁ、可愛いって言っても違和感ない笑顔を向けてくれたんだよね。うん。…って、ちょっと睨まないでよ。
「僕の前の席だからね、君」
「ふぅ~ん…。あ、ヤバい。そろそろ帰らないと。じゃあおじさん、また!」
「はいよ。またな臨也君。双子ちゃんのお世話もいいが、ちゃんと学校にも行かないと駄目だぞ!」
「親二人が帰ってきたら考えるよ。学校行くより、あいつらの面倒見てる方が楽しいし」
「そんなことを言ってまた…。そうだ、そこの君!」
「は、はい!?」
臨也が…まぁ、義務教育中の子供らしからぬ発言をして、それに呆れた店主さんがね。いつの間にか僕の前に来て、肩をがっしりと掴んだんだよ。で、なんて言ったと思う?あれは意外だったね。初対面に近い子供に言うことかってくらいには、驚いたよ。
「臨也君に学校の事、教えてやってくれよ!小学校の時から真面目に行ってない子だから、学校の良さもよくわかってない子でな!」
「へっ?え、えぇ?」
「ちょっとおじさん…」
「頼むぞ!」
ま、そんなわけで、大人の強引さに打ち勝つ術のなかった僕らは、成り行きで臨也の家に行くことになったってわけさ。
**********
「え~っと…ごめんね。あの人、悪気は100%ないからさ…」
「うん、それは分かってるよ…。なんて言うか…熱い人だね」
「はは、うん。そうだね、アツい人だ。でも…良い人だよ」
臨也の家に行くまでの間に、僕らは結構打ち解けたよ。僕としても、打てば響くって言うか…。何のタイムラグもなく返ってくる返答が嬉しかったのかな。同レベルで会話できるってことが嬉しくてさ。どんな医学的用語出しても、臨也は理解して返してくるんだよ?あれは面白かったね。
「でも、良いのかい?お邪魔して…」
「ん?別に。4歳の子供がいるけど…子供苦手?」
「いや、別に。…子供、だけで留守番かい?」
「幼馴染に留守番頼んだけど、多分俺と入れ違いで帰ってるかな…。習字があるとか言ってたから」
そう言って、臨也はガチャリと家の鍵を開けた。
すると、小さく早い足音が、二つ。
「いざにいー!」
「いざに…おかぇり…!」
出て来たのは、可愛らしいひよこの着ぐるみを着た、女の子二人だった。そう、臨也の妹の双子だよ。
「ただいま。莉真は?帰ったか」
「かえった…」
「いざにいにまたねって!」
「そうか。ありがとう。あぁ、お客様がいるから、部屋で遊んでおいで」
「「おきゃくさま?」」
あの頃は、あの双子も言葉すべてがひらがなって感じで、臨也の後をぴょこぴょこついてくし、服も相まってほんと、カルガモ親子って言うか…そんな感じだったよ。こっちを見るものだから視線を合わせて自己紹介するとね、ちゃんと自己紹介するんだ。で、偉いねって臨也に頭撫でられて、喜びながら子供部屋に走っていって…。あの時、『可愛いは正義』って言葉に心から同意したよ、私は。
「慣れてるんだね、子供の世話」
「親が海外で、俺が世話するしかないからね。最初はベビーシッターとか雇おうかって親も話し合ってたけど、あの二人が泣いて嫌がってさ。俺も、学校に行くよりはこの方が楽しいし、経済的だしってことで」
「………学校、行く気ないんだ」
「ん~…つまんなそう。ってところかな。勉強なんかは家でもできるし、学校側にも話は通してる。試験の時だけ、ちゃんと学校には行くよ。だから、不登校ってわけじゃないし、まるで行く気がないわけでもない。ま、試験日に行って、珍獣扱いされるのは御免だけどね」
そう言って肩をすくめた臨也は、紅茶と一緒に、美味しそうなチーズケーキを出してくれたんだ。いやー、あれは美味しかったなぁ…。あれが臨也の手作りだと知ったのは、もう少し後だったけど。
「でも、色んな人がいて面白いよ。学校」
「ん~…ごめん。あの双子の行動の突飛さと危なっかしさに勝る面白さを、今見つけられる自信がないんだ…。正直言って」
遠い目をした臨也に、納得した。あのくらいの子供って、何でもかんでも興味を持つし、いじりたがるだろ?まぁ、言われてみれば、小さな子供の行動に勝る面白さなんて、そうそうないだろうって頷いたよ。
「でも、まぁ…。これも何かの縁だし、試験の時とかはよろしくね」
「勿論。同じクラスだし…。もしよかったら、プリントとか持ってこようか?社会科実習とか、研修の合宿とか、これから結構多いよ、プリント」
「でも、どうせ行かないだろうしなぁ…。ほんと、親が日本に腰落ちつけて仕事してくれれば楽なんだろうけど、一向にその気がないからな…。あの人達」
「…大変なんだね」
そこで思い出したのは、自分の父親かな。うん。あの人も大概変人だけど、子供だけにするってのは…セルティが来るまではなかったよ。臨也を信用してるのか放任主義なのか、判断に困ったね。
「それに、君だって他に友人とかいるだろ?わざわざそんなこと頼めないよ」
「え?あぁ…いや。僕ってさ、周りから変わってるって認識されてるから…。そんなに友人と言う存在はいないよ」
「え、そうなの?」
意外そうな顔をした臨也に、僕が驚いたね。あれだけ帰り道で変な会話してたってのに、自覚がないんだよ。それで思ったんだ。臨也は、『他人』との接触が少ないってね。そして、自分が他人とどう違うのかを、あんまり認識していないとも感じたな。今は、違いが分かりすぎちゃってるけど。
「ふ~ん…。意外」
「そう?って……あ、」
「?」
その時、何でそう言ったのかなんてよくわからないな。決して、意図的に言ったわけじゃないんだけど…。あれ以来、あの時のことを話すと、臨也にも双子にも、『天然無自覚タラシ』って言われるんだ…。しかも、『ただし、突発的につきレア』ってつけられてね。
「折原君の目って……夕焼けの終わりみたいな紅、だよね」
ただ、そう思っただけなんだ。夕暮れ時の太陽をさ、熔かして固めて、はめ込んだみたいな。
「妹さんも同じ色だよねぇ…。って、折原君?」
その時の臨也の顔は、茫然自失というか、ま、そんな言葉が似合ってたね。口をポカンと開けて、目を見開いてさ。
そして、数回瞬いてからさ、最初に会った時に見たより、数倍綺麗な笑顔で笑ったんだよ。
「………そんなこと言う人には、初めて会ったな…」
面白い人だね、岸谷君。
「ついでに、物好き」
「物好き!?」
「そ。これをそんな風に例える人間がいるなんて思わなかったなぁ。意外すぎ!」
「え、ちょっと、せっかく褒めたのにそれは酷いよ!」
「えぇ、褒めてたの?!口説いてたんじゃなくて?」
「くどっ…!?ぼ、僕には心に決めた人が…!」
「冗談だよ冗談。はは、天然だなぁ」
「僕もそんな評価初めてだよ!」
そんな言い争いをして、途中から双子が乱入してきて、それでその日は終わり。
偶然に偶然が重なって起きた出会いだったけど、今も続いてると思うとまぁ、合縁奇縁ではあるけれど、管鮑之交…ってところ、かな。
とりあえず、今思い返せばあの時の臨也の顔がちょっと赤かったのが面白く…って、痛い痛い痛い痛い痛い!!いつの間に来てたのさ、臨也!!
あとがき↓
アニメなどでやってないなぁと思う分、捏造し放題の中学同級生組の出会い…。
ちなみに四字熟語で出て来た管鮑之交ですが、意味は「互いによく理解し合っていて、利害を超えた信頼の厚い友情」のこと。良くも悪くも、あっているなぁと思いつつ。
10万hitのお話の一つを、これの続きとして書こうとも思います!
さて、これで新羅が語っていた相手はどなたでしょう?