[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
やぁ!珍しいじゃないか、一人でここまで来るなんて。え?はは、それはすまない。君はあんまり、こういった人の死体をいじる場所は好きじゃないと思っていたんでね。来るなら家の方だと思ってたのさ。
ん?臨也?あぁ、彼とは中学時代の同級生でね。本当は、君に紹介しようと思っていたんだ。絶対に仲良くなれると思っていたから。…まぁ、臨也は、入学してすぐ、ご両親を飛行機事故で亡くして夏休み前に退学したけれどね…。その前も、何かと忙しそうで紹介できなかったんだよ。
ん?それで、何で今連絡を取ってるのかって?あぁそうだね…。僕は、第一志望だった大学の医学部に入れたんだけど、その後、かな…。実は、同じ大学の理工学部に……
**********
「大学始まって以来の天才?」
「あぁ、何でも入学の二次試験オール満点の首席入学で、中間も期末も余裕のトップ。他の生徒からもよく勉強聞かれてて、頼りにされてるって話だぜ」
「へぇ…いるんだねぇそんな人」
それを聞いたのは、昼食を一緒に取っていた同学科の友人からだった。彼も名前は知らないらしいし、姿を見たこともないらしいということでね。
そして、その彼にはもう一つ、噂になる理由があったのさ。
「何でも、奨学金とってるらしいんだけど、バイトも何個か掛け持ちしてるらしいぜ?理学部の連中、よくそいつのバイトしてる店に呑みに行ったりもするらしいから」
「へぇ…凄いな、奨学金ももらってる上にって…一つバイトしてれば充分じゃないのかい?」
「あぁ、学費は自分で払ってるらしいってさ。ついでに、それでとうとう、夏休み前に過労でぶっ倒れてうちの付属病院に担ぎ込まれたって」
噂になったのはそれが原因だった。
うだるような暑さに加え、掛け持ちしたバイトの疲労からだろう。彼は、期末試験中に、答案を書ききっての脱力感からかパタリと倒れたそうだ。顔も青いし、声をかけても肩を叩いても反応しないって、一時教室は騒然としたらしくてね。後で、いくらなんでもバイトを一つ減らすようにって教授から注意を受けたって聞いたよ。まぁ、彼にとっての幸運は、それが前期最後の試験だったってことかな。
その人とは、生物系の授業で一緒になるかと思ったんだけど、実は、全くそれらしい人には会えなかったんだよ。
なぜなんだろうと思ったら、やっぱりバイトでね。彼が他の人によく勉強を教えているのは、授業のノートを取ってもらってるからっていうのもあったそうなんだ。
**********
まぁ、それで…。うん?それが臨也と何の関係があるのかって?まぁまぁ、ちゃんと聞いててくれよ。その後、僕は六年間の在学期間を経て、ここに入ったわけだ。そしてまぁ……同じような噂を聞いたんだよ。あの時はデジャブだと思ったねぇ。
そう、あれは…君も覚えてるかな。強盗殺人事件が、模倣犯も含めて多く出た事件だ…。
**********
「科捜研から…?」
「あぁ、結果を早急に回せってな。こっちの今のところの見解と合わせて検証して、捜査本部にあげたいんだとよ。このレポートは、科捜研の情報屋からだな」
「『科捜研の情報屋』?何ですかそれ」
「お前と同い年ぐらいの、科捜研に入った新入りだ。大学院での成績も良くて、国Ⅰか国Ⅱ、民間でも大企業に就職するか大学で研究かなんて、多方面で噂されてた奴が科捜研入りしたんだよ。天才って言われててな。ちょっと言い回しは嫌味だが、後からよく考えりゃ薬にもなる。深く考えなきゃ、ただ毒になるってやつらしい」
確か、お前と同じ大学じゃなかったか?
そう言われても、僕はすぐにピンとは来なかった。書類とデータを科捜研に持っていくついでに見てきたらどうだって言われて、興味本位で向かうその途中でやっと、大学時代のその、理工学部の天才と結びついたのさ。まぁ、それまですっかり忘れていたんだけれどね。
そして…
「すみません、上司に頼まれて…」
「あぁ、詳しい解剖と検死結果ね。ちょっと、そこで待っててくれないかしら?担当が仮眠取ってるのよ」
そこで出会ったのは、なかなかに美人な女性…知ってるだろ?矢霧女史だよ。彼女は僕にコーヒーを出すと、仮眠室へと入って行った。
そしたら、次の瞬間凄い音がしてね。
「ったぁ…俺の貴重な睡眠時間を削るとはいい度胸だね波江」
「しょうがないでしょ、客よ。あと、貴方の睡眠時間が短かったのは徹夜で鑑定してたから。つまり、ただの自業自得よ」
「だからって、シーツ引っ張るって…いやな実力行使だな…ふぁふ…で、客って?一課ならお断りだよ。しつこいんだもん」
「解剖結果よ」
その声に、聞きおぼえがあると思ったんだ。その喋り方にもね。ただ一つ違っていたのは、私のように白衣を羽織って、寝癖のついた髪を直しながらゆったりと歩いてきたことと、少し、身長が伸びていたことだったかな。
「解剖結果なら仕方ない…。待たせてすみません。科捜研の折原です。今日はわざわざ持ってきてもらって…「……臨也?」…は?」
最初は、臨也も僕だとは思わなかったみたい。名前を呼ばれて呆けていたからね。
「臨也…折原臨也だろ?僕だよ、岸谷新羅だ」
「新羅…って、えぇッ?」
後はまぁ、君が知る通り、僕らは今のような関係に至る…。というわけさ。
そして、予想がついてるだろうけど、その理工学部の天才っていうのも臨也でね。両親が亡くなっても財産は大量にあったんだけど、妹達のこともあったからバイトしてたんだってさ。その間に、随分と円滑な人間関係も築けるようになったみたいだよ。昔はもっと凄かったからねぇ…。
同じ高校だってことを黙っていたのは悪いと思ってるよ。でもまさか、君が聞いてくるとは思わなかったんだ。誰に聞いたんだい?あぁ、双子の妹達からか。
僕も明後日あたりに、セルティと一緒に見舞いに行こうとは思ってる。今日も行くなら、そのこと、伝えておいてもらえるかな?
静雄。
あとがき↓
そういうわけで、久々の刑事パロは、マッド(?)三人の邂逅でした。